自分が良いと思っても、その人にとっても良いとは限らず――自社に適した3D CADとは:3D設計推進者の眼(11)(1/4 ページ)
機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は「自社に適した3D CAD」について考えてみる。
本連載では、前回まで3回にわたり、3D CADデータ管理を行うPDMについてお話ししました。この中では、使用している3D CADの特性を顧慮しなければならないことにも触れました。
その一例として、現在私が構築を進めている3D CAD(iCAD SX)での、「内部パーツ」と「外部パーツ」というアセンブリ/パーツ構成の仕組みについてお話ししました。
私自身もそうでしたが、他の3D CADを使用している人からすると分かりにくい語句かもしれません。これは、簡単に言えば、(部品図として出図ずる必要のあるもの)=(外部パーツ)ということになります。また、アセンブリに含まれる規格品のネジなどの締結部品や、追加工を伴わない購入部品は加工のための図面出図が不要なので、基本的には、アセンブリに含まれる内部パーツとして管理すれば良いことになるわけです。
iCAD SXは、2D CADからの移行が容易であり、また装置設計向けの用途に向いている3D CADといわれ、私もそう実感しています。しかし、慣れたものとは異なる3D CADの特性を理解することが、語句1つを取ってみてもいかに面倒かを実感しています。
そもそも「自社に適した3D CAD」って何なのでしょう?
「○○という3D CADを導入したけど、立ち上がっていない」あるいは「○○という3D CADを導入したけど、上手く運用できなくて●●という3D CADに変更した」といった話を聞くことが多々あります。
後者の場合は、前者の「導入したけど立ち上がらない」という話へ発展することも多いではないでしょうか。
3D CADを別のソフトに変える際にも、コンサルティングや営業担当の意見に左右されることが多く、そもそも最初の導入の時も、設計者自身の考え方以外の影響を受けて採用していることも多いのではないでしょうか?
また、複数の3D CADベンダーの方と私自身が話をする中で気が付いたことですが、3D CADが他社製品に入れ替わる割合は、どのベンダーの製品も同じ感じなのではないかということです。これはハイエンドな3D CADではなく、ミッドレンジやメインストリームといわれる3D CADで良く見られるので、ある一定の3D CAD市場でこのような現象があるのだと考えます。
3D CAD導入には、製品購入費用や導入作業を費やすことになります。入れ替えとなると、更に費用が費やすことになり、中小企業にとっては大きな負担になります。
ここで、とあるCADカンファレンス会場での会話の例を紹介します。
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