キヤノンMJが「ロコモ」予防を目指す、高齢者の運動機能測定を自動化:医療機器ニュース(2/3 ページ)
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループは、介護スタッフによる高齢者の運動機能測定を効率化するシステム「ロコモヘルパー」を開発した。今後3年間で、累計1000施設の介護予防関連事業所への納入を目標としており、「ロコモーティブシンドローム(運動器症候群、ロコモ)」予防への貢献を目指す。
「通常歩行」と「TUG」を自動測定できるのは「ロコモヘルパー」だけ
ロコモヘルパーは、運動機能測定を行う5×3mの空間を確保し、その空間を測定できるようにKinectとノートPCを設置するだけで利用できる。自動測定が可能な5つの運動機能測定種目は「開眼片足立ち」「いす立ち座り」「最大一歩」「通常歩行・最大歩行」「TUG(Time up&go)」である。
測定対象の正面骨格情報と側面骨格情報を取得するセンサーは市販品のKinectだ。キヤノンIMが開発に注力したのは、Kinectで取得した時系列の骨格情報を基に、人の動きを運動として認識させるアルゴリズムになる。キヤノンITソリューションズが研究開発した要素技術を組み込んだライブラリがベースになっており、慶應義塾大学体育学研究所 准教授の山内賢氏が監修した。位置情報が多くのノイズを含んでいる点を解決するとともに、立ち座りに台上される運動の定義が人間の認識結果と一致するようにしたという。
また単なる測定システムではなく、運動動作分析ツールとして製品を仕上げた。経年変化を視覚化する比較画面や自動重畳表示、歩行軌跡などの分析支援機能、5日間程度で習熟できる直観的なユーザーインタフェースなどが特徴。ソラストや聖隷福祉事業団の介護予防関連事業所における実証評価を行い、その結果も反映されている。
伊原氏は「運動認識のアルゴリズムのレベルは高い。通常歩行とTUGの自動測定ができるのはロコモヘルパーだけだろう」と胸を張る。
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