適正テスト結果から見える2016年度の新入社員:キャリアニュース
エン・ジャパンが、2016年度の新入社員を対象に適正テスト「3E-IP」を実施。その結果をもとに、新人の特徴や5年前との比較、育成ポイントを発表した。それによると、周囲への興味関心が薄く、仕事と私生活のバランスを重視する新人が多いようだ。
エン・ジャパンが、同社の新人研修プログラムを受講した2016年度の新入社員335名を対象に、適正テスト「3E-IP」を実施。その結果をもとに、新人の特徴や2011年からの変化、育成のポイントをまとめて2016年5月11日に発表した。
3E-IPは、同社が提供する適正テストで、企業が求める特性や能力を持つ人材を短時間で簡単に見極められるものだ。
適正テストの結果から、2016年度の新入社員はコミュニケーションの取り方に関して「周囲への興味関心が薄く、自分の世界を守る」タイプが多いことがわかった。スマートフォンやSNSの発達により、ステージが変わっても気心が知れた仲間とのつながりを維持できるため、外向性が弱く、身内の殻に留まる傾向がある。クチコミやネットの情報を参考に選択することが習慣となっており、未知のものへ挑戦することが苦手なようだ。
仕事へのスタンスを見ると、管理職や経営幹部になることを目標とするよりも、「私生活とのバランスを重視する」タイプが多い。人との競争は好まないため、ビジネス社会では戸惑う可能性がある。さまざまな情報を集約して決断することは得意だが、ゼロから何かを生み出す作業や思考を苦手とする傾向が見られる。
効果的な育成ポイントは
同社は2011年4月にも新入社員を対象として同じ適正テストを実施している。2011年と今回の結果を比較してみると、2016年は性格特性で「外向性」「協調性」の偏差値が低下し、コミュニケーション力では「意思伝達力」が上昇しているが、「タレントマインド」「対人調和力」は下がっている。
また、エネルギー量では「決断性」がポイントアップ。「行動性」「競争性」「野心性」はいずれも5年前より低下している。
ストレス耐性については「人付き合い」「仕事の負荷量」の得点が大幅に下がった。キャリアタイプの指向は「スペシャリスト」「安定指向」「私生活重視」が上昇。「経営幹部」「アントレプレナー」「チャレンジャー」指向の人は減っているようだ。
このように、2011年から2016年の5年間だけを見ても、コミュニケーションの取り方や仕事へのスタンスは大きく変化している。上司側は2016年度の新入社員に対して、異なるバックグラウンドを前提とした指導の必要がありそうだ。予想外の行動や発想を頭ごなしに否定するのではなく、傾聴力と受容性を高めた丁寧なコミュニケーションが必要と言える。
また、新人は効率性を重視し逆算思考で設定したゴールに向かいがちだが、ビジネス経験の少ない新人にとって適切な目標設定は難しいので、上司が旗振り役となることが重要になる。意図や狙いが設定されていないと動きづらいため、業務で得られるものや狙いを提示しておく必要がありそうだ。
2016年度の新入社員は「自分でやらないと……」「迷惑をかけたくない……」という概念も強い。自分だけで80%の仕事をするよりも、人の力を借りて120%できた方が良いという価値観の提示が必要だ。ネットから得た情報でマイルールができ上がっている新人も多いため、理解度を確認し、意見を発言させる機会を小まめに作ることを心がけたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.