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「不良発生率ほぼゼロ」を実現! 精密板金試作の相互的な意思疎通ママさん設計者の「モノづくり放浪記」(2)(1/7 ページ)

ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回は精密板金試作の専業メーカーのトライアン相互を訪れた。

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 モノヅクリストの皆さん、こんにちは!

 前回の「マシニング加工編」はいかがだったでしょうか。自分自身は普段からCNCフライスを操りながら、ドヤ顔で「時代は切削!」をアピールする切削オタクを自認していますから、フライス加工とマシニング加工についてはその世界を知り尽くしていたつもりでした。でも、今回の連載であらためて現場取材をして、加工オペレータさんの生の声を聞きながら、設計者として、発注者として、「歩留まり良く効率の良い部品製作のためにできることはなんだろう」と、考えさせられました。

 とりわけ大切なのは、加工者との“相互的な意思疎通”でしょうか。これを活発にするためにも、設計者は現場の世界を知っていかなくてはいけないのだな……と思います。

 ということで、襟を正して今回も書きつづってまいりましょう。今回ご紹介する加工現場は、長野県塩尻市のトライアン相互です。

 こちらは精密板金試作の専業メーカーさんでして、2000年代初めから3次元CADと自動曲げプログラム作成システムを導入し運用する会社です。ちょっと特徴のある社名には、「試作(トライ)を通じてお客さまと相互に繁栄を分かち合い、社会に貢献したい」という意味が込められているとのことです。社員数20人。平均年令38歳。なにげにパワーを感じますね。

 それでは早速おじゃましてみましょう。

金型に頼らず試作品を加工する

 玄関を入ってすぐ左手に製品サンプルのショーケースがあります。

ショーケースに入った製品サンプル

 大きなものではカーナビやプリンタのシャーシーといった、複数の部品をカシメ加工やネジ止めで組み立てたものが見られますね。

 こちらは金型を作らずに対応したリブ加工の品々です。


リブ加工の製品サンプル

 こちらは、ベンディングマシンで半抜きをした後に切削加工で滑り止めをしたものです。


半抜き加工後に滑り止め加工を施した製品サンプル

 量産の際に金型を起こしてプレス加工する部品でも、数個の試作となると金型に頼らずに作る工夫が必要になります。試作とは、それを評価して量産へつなぐ重要な役割を担います。そのため試作メーカーでは部品に求める設計者の意図をきっちりつかみ、図面やデータに指示された項目を忠実に実現するために、あらゆる所有設備を使い分けて対応しているのです。

 また、レーザー加工品では大まかなものから繊細なものまで多種多様に対応をされています。これについてはこの後少し詳しく紹介します。

レーザー加工の製品サンプル

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