いまさら聞けない「ECHONET Lite」とその認証プロセス:「ECHONET Lite」の基礎技術と認証プロセス(1/4 ページ)
HEMSコントローラーとスマート電力量メーター、家電機器間の通信として採用が進んでいる、最近話題のスマートハウス用通信プロトコル「ECHONET Lite」をどれだけご存じだろうか。ECHONET Liteの基礎技術と認証プロセスについて解説する。
ECHONET Liteの仕様
ECHONET Liteはエコーネットコンソーシアム(現在の「一般社団法人エコーネットコンソーシアム」)によって2011年3月にDraft版が制定され、同年12月に正式版が一般公開された通信プロトコルである(*1)。
経済産業省より日本国内でのHEMS標準プロトコルとしての認定を受け、その後にはISO/IECの国際標準化が行われたこともあり、ECHONET Liteは現在、国内外より大きな注目を集めている。また、2016年4月よりHEMS重点8機器(スマートメーターBルート、太陽光発電、蓄電池、燃料電池、EV/PHV、エアコン、照明機器、給湯器)に対して新しい認証制度「AIF(Application Interface)認証」が開始するなど、ECHONET Liteは日々進化を続けている。
ECHONET LiteはOSI参照レイヤーのLayer5と6に相当する層について規定された、通信プロトコルである(図1)。
下位伝送メディアについての規定は無く、最低限のガイドラインのみが存在している。一部例外はあるが、基本的にどの下位伝送メディアを使用してもよい。現在のところ、下位伝送メディアとしてはイーサネット、Wi-Fi、Wi-SUNなどを使用するケースが多いようだ。
レイヤー3にIPを使用する場合はレイヤー4としてUDPを使用することが必須であるが、TCPの併用も可能だ。UDP/TCPの待ち受けポートはECHONET Liteとして規定があり、同一サブネット内の複数機器と通信する場合はブロードキャストアドレスではなく指定されたマルチキャストアドレス(IPv4、IPv6)を使用することとなる。
クラスとプロパティ
ECHONET Liteは100種類以上の家電に対応した規格を有しており、各機器に対するきめ細やかな制御・情報収集を行えることが大きな特徴である。これはECHONET Liteの「クラス」と「プロパティ」という概念により実現されている。「クラス」と「プロパティ」の概念を下表1で説明する。
定義 | 例 | |
---|---|---|
クラス | 機器の種別を表すもの | エアコン、照明、電気温水器…… |
プロパティ | 各機器の機能、諸元を表すもの | (エアコンであれば)運転モード、温度設定値、現在の温度…… |
表1 クラスとプロパティ |
ECHONET Liteの規格書では各機器のクラスコードが定義され、プロパティコードは各クラスごとにそれぞれ定義されている。これによりECHONET Liteの電文は「どのクラスのどのプロパティを●●する」という形で表現され、各機器に対するきめ細やかな制御・情報収集が可能となっている。
クラスは「ノードプロファイルクラス」と「機器クラス」に大別される。「ノードプロファイルクラス」はその機器自体のプロパティ情報(メーカー名、型番、製造年月日など)を格納するクラスで、全てのECHONET Lite機器が必ず1つ搭載することが定められている。
一方の「機器クラス」はエアコン、照明などのその機器の種別に特化したプロパティ情報(エアコンであれば運転モード、温度設定値、現在の温度など)を格納するクラスで、全てのECHONET Lite機器が必ず1つ以上搭載することが定められている。
ECHONET Lite機器としての最小の構成は「ノードプロファイルクラス1つ + 機器クラス1つ」となるが、機器クラスは複数種類を搭載することも可能であり、「エアコン + センサー」などのように1つの機器が複数の機器クラスを搭載する例は数多く存在する。
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