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3D CADと3D CADベンダーの明日はどっちだ?デザインの力(2/3 ページ)

3D CADや3Dプリンタをテーマにしたイベント「3Dミライデザイン」が開催された。本稿では、第1部「デザイナーがつくるミライ」と第2部「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」の講演内容について紹介する。

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「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」で4氏が白熱

 続いて行われた「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」は、CAD/モデリングツールベンダーの担当者4人が参加するパネルディスカッション形式で行われた。登壇したのは、ソリッドワークス・ジャパン マーケティングシニアマネージャーの原島辰雄氏、デジタルモデルングエキスパートでアプリクラフト創設者の中島淳雄氏、オートデスク Fusion 360 エバンジェリストの藤村祐爾氏、そしてイベント主催者であるsolidTHINKING 製品デザイナーの金優希氏である。ファシリテーターはpdweb.jp編集長の森屋義男氏が務めた。

「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」に登壇した4氏
「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」に登壇した4氏。左から、アプリクラフト創設者の中島淳雄氏、ソリッドワークス・ジャパンの原島辰雄氏、オートデスクの藤村祐爾氏、solidTHINKINGの金優希氏

 1つ目のテーマは「デジタルファブリケーション」。2人のデザイナーが言及した3Dプリンタとの関わりが深いテーマである。

 オートデスクの藤村氏は「数年前からのブームのおかげで3Dプリンタのイメージは強いが、そのデータを作り出す3D CADのことはあまり言及されていない。3Dプリンタ=ハードウェアは急速に進化しているが、3D CAD=ソフトウェアは変わったのか」と疑問を投げかけた。

 中島氏は「何らかの3Dデータを3Dプリンタで出力しようとしても8割は出力できないと聞いている。STL化がうまくいかないなど元のデータに問題があることがほとんどだが、それを解決するヒーリングツールの開発を進めているところだ」と答える。

 金氏は「ツールベンダーと3Dプリンタメーカーがもっと協力できないか。どういうやり方をすればユーザーにとって理解を得られやすいのかを考えるために、今回のイベントを主催したのも、そういった流れを生みたいという思いがあった」と語った。

 ファシリテーターの森屋氏は「ツールベンダーとしての具体的なソリューションはないのか」と4氏に問いかけた。これに対し金氏は「プロ向けのツールではあるものの『INSPIRE』のような最適化ツールを活用できれば、自分のほしいものをデザインすることに集中できるので、間口の拡大につながると考えている」と回答した。また藤村氏は「CADの『ハードルを下げる』『簡単なものを目指す』ということを考えると、最初は1つ2つのことしかできないが、レゴのように数を増やせばいろんなことができるようになるというコンセプトはどうだろうか。『CADってこういうものだよ』ということを触れることで感じられるソフトを開発しなければならないのではないか」と述べた。

 原島氏はデジタルファブリケーションについて別の見方を提示した。「私は、CADベンダーに務めているので3D CADや3Dプリンタは使い放題にもかかわらず、プライベートではほとんど使わない。壊れたモノの部品を自分で作ったりできる環境にあるが、実際にはアマゾンで安いモノを見つけて買うということも多い。デジタルファブリケーションをする人としない人で二極化するのではないか」(同氏)。

 2つ目のテーマはデザイナーの孫氏が話題にした「コンピュテーショナルデザイン」だ。

 このテーマでは、サーフェスモデラー「Rhinoceros」や、Rhinocerosでコンピュテーショナルデザインを行う際の支援ツール「Grasshopper」を国内展開するアプリクラフトの創設者である中島氏が、コンピュテーショナルデザインについて簡単に解説した。

 コンピュテーショナルデザインでは、コンピュータにコマンドの繰り返しをやらせたり、パラメータに従ってモーフィングを延々とやらせたりできる。「例えばスタジアムをデザインする際に、スタジアムのパネルを縦横10×10で割ると100になる。20×20なら400になるし、1000×1000なら100万になる。こういった数のレベルになると人間の手でシミュレーションはできない。コンピュテーショナルデザインを使えば、コンピュータに1万通りデータを作らせて、人間はその中から最適なものを選べばよい」(同氏)。

 これに対して金氏は「確かに、既にある程度結果が見ているような面倒くさいことはコンピュータにやらせたい。その計算結果から選ぶことで時間を短縮できるなら、その分だけデザイナーは他のことがやれる」と語る。

 原島氏は「現在はどういったパラメータに基づくのか、乱数を使うのか、もっと整然としたデザインがいいのかは人間が判断している。しかしコンピュータが進化すれば、現在人間が判断しているところもコンピュータが考えるようになるのでは。その時デザイナーの仕事はどうなるのだろう」と問いかける。

 一方、藤村氏は「デジタルファブリケーションの時に言ったように普及を考えると、いずれは『美しい』や『力強い』といったこともパラメータ化されていくのではないか。それらのパラメータを操作することで自身の思ったモノを作れるようになるかもしれない」と述べる。

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