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L18直交表でコマの性能を評価するTRIZ&TMでコマ大戦で勝てる!? コマを設計しよう(2)(2/5 ページ)

前回、TRIZでひねり出したアイデアを基に、実験して評価してみましょう。

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 問題のあるシステムは、ノイズに対して出力が変動してしまいます。制御できるパラメータを組み合せて最適化し、ノイズの影響を減衰させるのが「パラメータ設計」です。

 また「出力特性(コマの場合は回転数)が安定しているか?」を評価する尺度が「SN比」です(関連記事:信頼性テストを劇的に短縮するSN比の活用とは?)。Sは「Signal」(信号、転じて、感度)で有効な出力特性、Nは「Noise」(ノイズ)で有害な出力特性となります。

 SN比とは、S(感度:出力のばらつきを二乗した数)とN(ノイズ:出力の平均値を二乗した数)を割った数ということになります。


機能(出力特性)の安定性の評価尺度「SN比」(出典:タカノ)

 なお、単位は電力や音量などでよく使われるデシベル(db)です。SN比の表現が、通信工学の発想を基にしている(アナロジーである)ためです。

 SN比の値が大きいほど性能が安定しているということになります。またS(感度)の値が大きいほど、長く回ります。

 コマの場合は、対戦相手や回し手の技術、土俵との摩擦といった条件(ノイズ)になるべく左右されず、安定して回転数が得られること(出力特性の安定性)を目指します。

 出力特性を安定させる(コマを長く回す)には、多くのパラメータの組み合わせから最適な条件を見つけ出すしかありません。そこで活躍するのが「直交表」です。

直交表への割り付け

 直交表とは、多くの要因(パラメータ)を取り上げた実験を行うときに用いる組み合せ表のことです。要因効果の直交性を確保した水準配列により、全み組合せ実験より圧倒的に少ない組み合わせで、各要因の効果を推定できるのです。要は、効率よく最適条件を見つける道具が、直交表というわけです。

 直交表に記入する「水準」とは、「条件」や「選択肢」の意味です。

例えば、新型と旧型の工作機械の製品強度の優劣を知りたい場合、おのおのの機械で製造した製品の強度を測定します。この場合の、要因は工作機械、水準は新型と旧型、特性値は強度です。


 今回のコマの場合なら、実験の際にコマの寸法や材料などを複数試しますが、その値や要素が水準となります。

 直交表にはさまざまな種類がありますが、ここでは「L18直交表」を紹介します。L18直交表では、パラメータの「あ」には水準が2つあり、それ以外のパラメータ7つには3つあります。これら全てを総当たりしようとすると2×37で4374通りとなります。


要因とL18直交表(出典:タカノ)

 それがL18直交表を作ることで18回の実験で済むことになります。直交表の中に書かれた数字は、どの2列を選んでも、水準の組み合せが同数回ずつ現れるようになっています。ひとまずは、今回紹介した表など既存のデータパターンを利用して、任意の値に置き換えて作ってみるとよいでしょう。

 またパラメータは8つに満たなくてもよく、たとえ2つでも実験が成り立ちます。余った欄はダミーとします。直交表ではダミーも含めて計算しますが、評価対象からは外します。パラメータの数が少ない場合は、L4やL9などの小さな直交表を使うこともできます。

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