ヘビーユーザーにお得な新しいライセンスカウントも――Altair、CAEプラットフォームの新製品「HyperWorks 14.0」を発表:CAEニュース
CAEプラットフォームの新製品「HyperWorks 14.0」は最適化や非線形ソルバーの各種機能を強化し、新機能を追加。これまで買収した企業のツールのいくつかも新たに加えた。ヘビーユーザーにとってはお得になるライセンススキームも追加した。
Altairは2016年3月8日、CAEプラットフォームの新製品「HyperWorks 14.0」を発表した。最適化や非線形ソルバーの各種機能を強化し、新機能を追加した。また2014〜2015年にかけて買収してきた企業のツールのいくつかもHyperWorks 14.0に新たに加えた。
構造解析・構造最適化ソルバー「OptiStruct」では、新しい非線形解析や新しい接触・最適化アルゴリズムを追加し機能強化した。積層造形におけるラティス構造の設計と最適化のための新機能も追加した。
FEM解析モデリングソフト「HyperMesh」には、パートとアセンブリの新しいワークフローを追加し、PDMのデータ構造から直接データ取得可能になった。新しい高速グラフィックスエンジンを搭載し、パフォーマンスはソリッド要素を含む大規模なFEモデルで(従来製品比で)最大15倍、ジオメトリモデルで最大60倍高速化し、メモリ使用量を削減している。
マルチボディダイナミクス(MBD)ソルバーである「MotionSolve」では、剛体同士の3次元接触のアルゴリズムを改善し、高度な連成シミュレーション機能を追加した。自動車のマルチボディシミュレーションライブラリも拡張し、フルビークルシミュレーションが実行可能となった。
2014年7月にAlterが買収したEM Software & Systemsが提供していた高周波電磁(EM)解析総合ツール「FEKO」もHyperWorks 14.0に追加した。モデリングと計算の時間を短縮する機能の他、ソルバー非依存のマルチランスタディ環境「HyperStudy」との連携機能も加えた。
2015年4月に買収したMultiscale Design Systemsの「Multiscale Designer」も新たに追加し、複合材料を用いて設計された製品のモデリング、シミュレーション、試験、最適化の作業や処理をシームレスに統合可能だ。
さらに2015年9月に買収したClick2Castの鋳造工程シミュレーションツール「Click2Cast」もHyperWorks 14.0に追加した。
Altairパートナーアライアンス(APA)のサードパーティー製品は引き続き拡大していくとのことだ。45社の戦略パートナーが提供するアプリケーションはユーザーがライセンスコストを追加することなく「HyperWorks Units」から各ツールに直接アクセスできる。
ヘビーユーザーにお得な新しいライセンスカウント
今回、新しいソルバーライセンススキーム(ライセンスカウント方法)「HyperWorks Unlimited Solver Node」(HUSN)も新たに追加した。
従来は実行するソルバージョブ条件や数(Per Job)でライセンストークンであるHyperWorks Unit(HWU)が決まっていた。HUSNを有効にした場合、ソルバージョブを実行するマシン(ノード)数でHWUが決定する。同じノード上であれば、複数のソルバージョブを同時実行してもHWUの消費量は固定となる。そのため、ソルバージョブを多く実行する場合は、HUSNを使用することでHWUの消費を抑えることが可能だという。ただし、ソルバージョブの実行数が少ない、ソルバーもプリポストも同じマシンで実行する場合は、従来のPer Job方式の方がHWUを節約できる場合もあるとのことだ。
この機能は、HyperWorks 14.0で使用可能で、ソルバー実行マシンでHyperMeshなどを実行した場合はHMの1本目のHWUは加算される。
例:16コアを持つ1台のマシンでradioss14ジョブを実行した場合
- 4コアのradiossジョブを1ノードで4本実行した場合は、92.5HWUs(25+22.5+22.5+22.5)だが、HUSNであれば1ノードのため30HWUs。
- 8コアのradiossジョブを実行した場合、従来のジョブごとのカウント方式では、57HWUs(30+27)消費するが、HUSNを使用した場合は、1ノードでの実行のため、30HWUs。2ジョブを2ノードで実行した場合は、55HWUs(30+25)となる。
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