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第49回 56Gbps伝送技術前田真一の最新実装技術あれこれ塾(4/5 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第49回は56Gbps伝送技術について解説する。

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4.損失対策

 1の材料の工夫は、誘電損失と抵抗損失の両面から、できる限り進められています。

 まず、誘電損失の大きさは絶縁体の誘電率(ε)と誘電正接(tanδ)の2つの特性で決まります。このため、高速信号用の基板では、誘電率と誘電正接が比較的大きいFR-4から小さい低損失材料への変更がされています。

 現在、より損失の小さいレジンやガラスクロスの開発が素材メーカーでいろいろと試行されています。

 抵抗損失は表皮効果によるもので、銅配線の表面粗さが大きいと、損失が大きくなります(図2)。


図2:銅箔の表面粗さと表皮効果

 このため、銅箔表面をできるだけスムーズにすると同時に、アンカー効果がなくとも銅箔と基材との接着強度が保てるような接続技術についても開発が進められています(図3)。


図3:アンカー効果がなくても接着力を向上

 しかし、これらの新素材や新技術はいきなり出てくるわけではなく、地道な開発により、少しずつの進歩が出てくるものです。

 2の回路についても、いろいろなアイデアや回路とソフトの実現で少しずつ改善が進められています。

 ドライバ側では損失の大きな高い周波数成分だけを増幅するために使われるプリエンファシス回路があります(図4)。


図4:ドライバのプリエンファシス

 しかし、ドライバの出力信号を大きくすることは、信号の電力を大きくすることなので、消費電力の増大、同時スイッチングノイズや電磁放射ノイズの増大につながります。また、出力信号の信号電圧をドライバの電源電圧以上に高くすることはできません。

 レシーバ側では微弱な信号を損失の大きさに応じて増幅させるためのフィルター回路があります(図5)。


図5:レシーバのフィルタ

 損失は配線長さや、基板材料、ビアの数などによって異なります。このため、ドライバやレシーバの回路特性はシステム立ち上げ時にドライバとレシーバがテスト信号のやりとりを行いながら最適な特性を決定するようにしています。

 また、信号の同期も初期には8bit‐10bit変換を使っていましたが、現在は、より進歩した同期を使い、データ伝送周波数(GT/s)がそのままデータ転送速度(Gbps)になるようにしています。

 3についての対応には文字通り、配線を短くする方法とリピータがあります。

 損失は配線長さに比例しますから、短い配線では、小さくなります。

 このため、基板内配線では、できるだけ高速信号の配線を短くすることにより、損失を小さくすることができます。

 バックプレーンなど長い配線が必要な場合には、配線の途中にリピーターを挿入する事が考えられます。

 リピータはレシーバとドライバを持った回路で、損失で減衰した信号を整形、同期ずれの修復、増幅して、新たなドライバ信号として出力します(図6)。


図6:リピータ

 高速伝送線路解析用のIBIS AMIでもこのリピーターのある回路の解析ができるようになっています。

 しかし、リピーターを挿入するとバックプレーンの設計やコストアップになるので、光伝送との競合の可能性もあります。

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