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第47回 内部ディスプレイ接続規格前田真一の最新実装技術あれこれ塾(4/4 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第47回は内部ディスプレイの接続規格について解説する。

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5.MIPI(D-PHY)

 MIPI(Mobile Industry Processor Interface) Alliance は2002年にSTマイクロエレクトロニクスとTIによって創立されたOMAPIスタンダードにARM、ノキアが加わって、2003年に設立されたアライアンスです(図13)。


図13:MIPIのロゴ

 現在は100社以上の企業がメンバーとなっています。

 MIPIはその名の通り、モバイル機器内の相互接続標準化を進める組織で、データ転送、バッテリー、無線通信、ソフトなど多くの標準化を進めています。このMIPIのシリアルデータ伝送規格は2008年に制定されたD-PHYと呼ばれる規格で、主にカメラ接続(Camera Serial Interface = CSI-2)とディスプレイ接続(Display Serial Interface=DSI)用の規格です。この規格には、ハードウェアとプロトコルの両方が規定されていますが、ここでは、ハードウェアの仕様を紹介します。また、2010年にはさらに高速なM-PHY規格、2014年にはC-PHYも発表されました。MIPIのD_PHYは携帯電話のビデオ信号接続用に開発されたため、LVDSを単に高速化しただけではなく、信号振幅を±0.35Vから±0.2V(0.4V)に低下させ、消費電力の削減にも気を配っています(図14)。


図14:LVDSを低消費電力化

 また、高解像度に対応する高速伝送モード(HS)だけでなく、遅くてもよい場合には、さらに消費電力を低減させる低速モード(LS)も用意されています。

 D-PHYのHS は各1.5 GbpsでLSは10Mbpsです。転送方式はLVDSと同じでソース・シンクロナスで、クロックとデータを並列に送ります。3組のビデオ信号とクロックを加えた4組の差動信号を使います。ビデオ信号は必要に応じて、1、2、3、4とレーン数を増やして対応します。これをポートと呼び、ポートは最低4ピンから最大10ピンの構成になります。さらに高速化が必要な場合は、ポートを増設します(図15)。


図15:D-PHYのレーン数の増加

6.MIPI(M-PHY)

 2011年にMIPIの2番目のデータ転送規格、M-PHYが発表されました。M-PHYは単にD-PHYを高速化した仕様ではなく、デジタル携帯機器内のデータ転送全てを標準化しようとしています。このため、TYPE IとTYPE IIと2種類のインタフェースが規定されています(図16)。


図16:M-PHYのTYPE IとTYPE II(MIPI alliance資料)

 TYPE IとTYPE IIではデータ転送速度や消費電力が異なります。さらに、10〜30cm程度の基板やフレキ、ケーブルだけでなく光ケーブルもサポートしています。1レーン当たりのデータ転送は最大5.8Gbpsですが、可変で低速低消費電力モードもサポートしています。

 データ転送の高速化に対してはレーン数の増加で対応します。現在、MIPIでは次のC-PHY規格を策定中です。

 C-PHYでは埋め込みクロックを使用しますが、1レーンのデータ転送に2本ではなく3本の配線を使い、3値でデータを転送します(図17)。


図17:3値でのデータ転送(MIPI資料より)

 MIPIの発表では、3本の伝送配線を使いことにより、1クロックでおよそ2.28ビットのデータ転送ができるとしています。この3値伝送はシリアルデータ転送の速度を上げる手法として、多くの検討、開発が行われているホットな技術です。

7.eDP(embedded Display Port)

 eDPは2008年にVESA(Video Electronics Standard Association)(図18)から発表された規格で、LVDSの置き換えを狙っています。


図18:VESA

 eDP(embedded Display Port)はその名のように2006年に制定された、PCと液晶ディスプレイ装置の接続規格であるDisplayPortを装置内の組み込み(Embedded)配線用に変更したものです。基本的にはソフトのプロトコルやハード仕様など、Display Portと全く同じ仕様です。最新のものは2013年に発表された、eDP1.4で、1チャンネル当たりの伝送速度Display Portと同じ5.4Gbpsです。

 eDPはDisplay Portを使っている、ノートPCやタブレットなどの本体ディスプレイ接続用の規格です。外部と内部で同じ規格を使うので、ICのコントローラー回路が同じものを支えたりドライバソフトの開発が効果的に行えます(図19)。


図19:eDPとDisplayPort

 内部接続なので、コネクタやケーブルなどの規格はなく、シシテム開発者が自由にコネクタやケーブルを選定することができます。表1にDisplayPortとePDの仕様を比較します。


表1:DisplayPortとeDP

筆者紹介

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前田 真一(マエダ シンイチ)

KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。

近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)


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