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NDAにおける上手な「秘密情報の定義」とは?いまさら聞けないNDAの結び方(5)(3/4 ページ)

オープンイノベーションやコラボレーションなどが広がる中、中小製造業でも必要になる機会が多いNDAについて解説する本連載。今回は前回に続き、中堅・中小企業がNDAを結ぶに当たり留意すべき点を説明します。

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江戸氏が電子メールで答えるという状況が想定される場合

 次に、打ち合わせの後に矢面氏から、以下のようなメールが届いた場合について考えてみましょう。

矢面

先日のお打ち合わせはありがとうございました。追加質問として「○○」について教えてください


 追加の質問が来るのは大江戸モーターの小型モーターに興味があるからでしょう。江戸氏としては、自社ノウハウを開示しない範囲で回答することにしました。そして、追加質問の回答を電子メールで矢面氏に返信しました。

 では、この電子メールの内容は、上記秘密情報の定義の下で「秘密情報」に含まれるといえるでしょうか。

 この点については、電子メールはプリントアウトすれば書面となるから「書面での情報開示」に含まれるという考え方と、電子メールでの情報開示はあくまで電子データでの情報開示ゆえ「書面での情報開示」には含まれないという考え方の2つがあります。前者の通り考えてくれればいいのですが、後者の考え方も十分成り立つので、電子メールで開示する情報もあらためて「秘密情報」に含めるようにした方がよいと考えます。

 さらにいえば、電子メールで開示する情報のみならず、電子メールに添付した電子ファイル(Word、Excel、PDFなど)によって開示する情報も「秘密情報」に含まれるようにする方が安全でしょう。

 そこで、一例として、上記秘密情報の定義を以下の通り加筆・修正する対応が考えられます(太字部参照)。

「『秘密情報』とは、本目的のために甲又は乙が相手方に開示する技術上、営業上の情報であって、書面にて情報が開示される場合は、その書面上に秘密である旨の表示がされた情報をいい、電子データにて情報が開示される場合は、その電子データをPCなどの表示画面で表示した際に表示画面に秘密である旨が表示されるか、もしくは当該電子データのファイル名などに秘密である旨の表示を付した情報をいい、口頭にて情報が開示される場合は、開示の際に開示される情報が秘密である旨が示され、開示以降15日以内にその内容を書面化して情報の受領者に当該書面が提供された情報をいう。ただし、甲が、乙に対して開示する有体物に関する情報は、秘密情報に含まれるものとする。」

 このように修正したNDAをCFGモーターズと締結しておけば、江戸氏は、矢面氏からの追加質問に対する返信の電子メールの題名に「秘密」の表示をするか、電子メールの本文に「秘密」の表示をすることにより、この電子メールの内容を秘密情報とすることができます。

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