スズキ「イグニス」は1970年代/80年代/2000年代との“クロスオーバー”:車両デザイン(1/2 ページ)
スズキが2016年1月21日に発表した小型クロスオーバーSUV「イグニス」は、シンプルさとスズキらしい個性を両立するデザインを目指した。イグニスに取り入れたスズキらしいデザインのルーツは、1970年代にさかのぼる。
スズキが2016年1月21日に発表した小型クロスオーバーSUV「イグニス」は、シンプルでありながら一目見てスズキのクルマだと分かる特徴的なデザインを追求した。「シンプルアイコニック、シンプルスタンダード」というコンセプトに基づいて、線や面の要素を組み合わせた加飾に頼らないデザイン構成としている。ただ、シンプルにするには「余計なものを削る必要があり、究極には(個性が)何もなくなってしまう」(スズキ 四輪技術本部 四輪デザイン部長の竹内義男氏)。過去のモデルからスズキらしい“記号”を引用することで、シンプルさと個性を両立した。
イグニスのデザインは、2015年3月のジュネーブモーターショーで世界初公開した小型四輪駆動車のコンセプトモデル「iM-4」が基となっている。iM-4は、乗り手にインスピレーションを与える新提案モデルとして“スズキのDNA”や最新技術を盛り込んだ。これを「オンにもオフにも使えるコンパクトクロスオーバー」(スズキ)に進化させたのがイグニスだ。
「フロンテ クーペ」「セルボ」「エスクード」「スイフト」
イグニスは、過去の4つのモデルから記号となるデザインを引用している。古いものでは、1971年発売の「フロンテ クーペ」からCピラーの造形を、1977年に発売した「セルボ」からはフロントグリル内に配したヘッドランプを取り入れた。フェンダーガーニッシュは1988年発売の「エスクード」に由来する。2004年に発売された「スイフト」からは、ガラスとの一体感を出せる黒塗りのピラーを受け継いだ。
この他にもスイフトから「塊の強さや、フレアを出して走りだしそうな勢いを演出した点を取り入れている」(竹内氏)という。
これらのモデルが選ばれたのは「イグニスの趣旨に合う記号性を持っていたから。特定の年代の要素を取り入れるために選んだのではない」(同氏)という。過去のスズキらしいデザインを継承しつつも、現代的にアレンジして「過去と未来を結び付けるデザイン」(スズキ)を実現した。
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