リアルなロボットを追求するココロ、高度な3D設計環境を構築:CADイベントリポート(1/4 ページ)
話題のロボットを数多く手掛けるココロが、同社の設計現場における3D CAD導入の経緯や、3D CADを効果的に使うための環境構築について語った。
2015年11月10日に開催されたイベント「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2015」(主催:ソリッドワークス・ジャパン)のユーザー事例セッションにおいて、アミューズメントロボットを開発するココロ RT事業部開発センター 開発課の冨田朝美氏と、ソリッドワークス・ジャパン 営業技術部 アプリケーションエンジニアの保坂元章氏が登壇した。冨田氏は保坂氏の質問に答える形で、3D CADツールSOLIDWORKSのユーザーとして、3D CADを導入した理由や利用環境の整え方、3次元図面で生じた効果などについて、恐竜ロボットの事例を交えながら語った。
ココロは恐竜ロボットや人型ロボットの設計開発を行っている企業だ。基本的には博物館やイベントに使われるような、リアルな生物を主に制作している。動きも見た目も「可能な限り本物らしく作る」のが同社のこだわりだという。恐竜ロボットは小さなものから実物大のものまでさまざまだ。また大阪大学の石黒浩教授が手掛けるロボットや産業総合技術研究所の未夢(ミーム)などの、極めてリアルな人型ロボットにも関わっている。
同社が最近手掛けたものの1つが、長崎県のハウステンボスにあるホテル「変なホテル」のロボットだ。
変なホテルはコストダウンのため、ロボットによる接客をはじめとしたさまざまな業務を行うというコンセプトのホテルである。フロントにはココロによるリアルな女性の「アクトロイド」(人体型ロボット)と、小型肉食恐竜「ヴェロキラプトル」のロボットが立ち、宿泊者の応対をする。他にもアクトロイドはテレビCMにも出演したり、恐竜ロボットなどはレンタルも行っているなど、同社のロボットはさまざまな場面で活躍している。
ココロでは、まず「作りたい外形」が先にあって、その内部に収まるように機構を埋め込んでいくという手順で設計していく。内部の部品配置が以前より複雑になってきていることもあり、3D CADへの置き換えを検討した。
3D CADを使って設計されたのが歯科教育用患者ロボット「シムロイド」だ。
シムロイドは歯科治療用のイスも全て含めたシミュレーションシステムだ。ココロは患者ロボットの本体を担当している。患者がえづく反応をするなど、実際に起きそうなリアルな動作が特徴だ。歯科系の学生がこれを使って治療実習を行う。シムロイドを設計したのは3D CADを導入した初期の頃だったが、狭いスペースに3次元的に部品が配置されている頭部内部を設計している時、3次元の方が作業しやすいと実感したとのことだ。
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