中国新エネ車が席巻する、2016年の電気自動車/プラグインハイブリッド車市場:和田憲一郎の電動化新時代!(19)(1/3 ページ)
2015年、中国の新エネルギー車(新エネ車)の年間販売台数が22万〜25万台に達した。新エネ車=電気自動車もしくはプラグインハイブリッド車であり、その市場規模は米国を抜きトップに立つ見込み。2016年以降もその成長は加速する勢いで、今後の電気自動車/プラグインハイブリッド車市場は中国が台風の目になりそうだ。
2015年12月、中国の自動車工業会である中国汽車工業協会が、同年の中国市場における新エネルギー車(以下、新エネ車)の販売台数が22万〜25万台に達し、世界でも米国市場を抜きトップに立つ見込みと公表した。
中国における新エネ車には、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、それに燃料電池車(FCV)が含まれる。FCVは実質中国では発売されていないので、先述の販売台数はEVとPHEVが占めることになる。
しかし中国におけるEV/PHEVといっても、日本にいるとあまりピンとこない。どの自動車メーカーがどのような車種を販売しているのか、今一つ分かりにくい。そこで、関係者へのヒアリングを基に、新エネ車販売で世界のトップを掲げる中国の現状と、2016年の展望を考察してみたい。
急成長する中国の新エネ車市場
中国汽車工業協会の公表の通り、新エネ車の年間販売台数を25万台とすれば、年間の自動車市場が全体で約2400万台の中国では約1%に相当する。筆者も時々中国を訪れるが、新エネ車として上海などの大都市でよく見掛けるのはBYD AUTOのPHEV「秦(Qin)」であろうか。それ以外のEV/PHEVはあまり目にとまった印象はない。
中国では新エネ車の車種ごとの細かな販売台数が公表されていない。情報が少ない中でヒアリングを重ねていったところ、幾つかの状況が判明してきた。
中国の国家発展改革委員会が公表している資料によれば、新エネ車は、2011年が8159台(EV:5579台、PHEV:2580台)、2012年が1万2791台(EV:1万1375台、PHEV:1416台)、2013年が1万7642台(EV:1万4604台、PHEV:3038台)だった。しかし2014年になると急伸し、前年比で4倍以上の7万4763台(EV:4万5048台、PHEV:2万9715台)にまで増加した。さらに2015年は同3倍に近い増加率で市場が拡大している。
ここで、中国市場のEVとPHEVについて、主な自動車メーカーと車種を挙げてみよう。EVは、北京汽車の「Eシリーズ」(130/150/200)、知豆電動車、衆泰汽車(ZOTYE AUTO)の「云100」、奇瑞汽車(CHERY)の「QQ EV」、江淮汽車(JAC)の「iEV」、BYD AUTOの「e6」などである。しかし、いずれもあまり知名度の高いクルマではなく、ガソリン車からEVに転用したクルマが多いように見受けられる。
一方PHEVでは、BYD AUTOの秦が最も販売量が多く、さらに同社の「唐(Tang)」、上海汽車の「栄威550」と続く。なお、BYD AUTOは従来の「F3」「G5」というアルファベットの後に数字を入れる車種のネーミング方式から、新エネ車では中国王朝の名前に変更してきた。秦がその第1弾であり、その後にSUVのPHEVである唐、2015年12月に発売したPHEVモデルもある「宋(Song)」へと続く。矢継ぎ早にPHEV戦略を推し進めている印象だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.