「図面に寸法を入れて仕上げてみよう」の巻:ママさん設計者がやさしく教える「図面の読み描き超入門」(5)(3/6 ページ)
図面にも触れたことのないような初心者を対象とした、図面の読み方・描き方講座。お題をクリアしながら、解説を読み進めていくことで、いつしか図面の読み描きができるようになる! 今回は「図面に寸法を入れて仕上げてみよう」をテーマにお題と解説をお届けする。
穴などの図示例
寸法の記入とは、単に数値を記入するだけではありません。例えば穴を開けたりネジを切ったりする加工があれば、穴径やネジ径だけでなく、必要に応じて深さ寸法も記入する必要があります(図8)。
「φ◯◯」「M◯◯(メートルネジの径)」といった穴径やネジ径の指示だけだと、よほどの深さでなければ、加工者は通常これを「貫通」と解釈します。貫通させては困る場合は、必ず深さを指定して記入しましょう。行き止まりの穴は後から貫通にすることは可能ですが、貫通した穴を埋めることは、機能や外観を損ねるため基本的には許されないと考えた方がよいです。
そして、穴の深さを指定する時に気を付けたいのは、「ドリルの刃先は角度を持っていて平らではない」ということです(図9)。
例えば、板厚6mmの材料に深さ5mmの行き止まりの穴を開ける図面を描くとします。この時の5mmが、「ドリルの刃先から5mm」ならば、理屈上貫通することはありません。でも、設計者の意向が「ドリルの肩から5mm」だった場合、上の図でお分かりいただけるように、ドリルの先端が材料を貫き抜けないと肩から5mmの穴を開けることが出来ないのです。こういう場合、選択肢は3つです。
- 穴の深さを変更してもらう
- 貫通を許してもらう
- ドリルではなく、先端が平らなエンドミルを使って穴を開ける
1か2を選択した場合と3を選択した場合とでは、工具代や加工時間に差が生まれコストに響いてくるので、こういう場合は設計者とよく相談する必要があります。
その他、ネジ頭を部品の中に沈めて、組立後の表面に突起物を残さないようにしたい時には、貫通穴に加えて、ネジ頭を埋める「ザグリ加工」をします。その場合の寸法記入はこのようになります(図10)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.