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ヤフーのIoTプラットフォーム「myThings」は“新しいインターネット”を作りたいIoT(1/3 ページ)

ヤフーが開始した“全てをつなげる”IoTプラットフォーム「myThings」。モノとWebサービスを自分好みに連携させるだけではなく、“新しいインターネット”のインフラになることを目指す。

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 Yahoo!Japan(以下、ヤフー)といえば言わずと知れたさまざまなインターネットサービスの提供元だが、そのヤフーがハードウェアとの接続、いわば“インターネットの外”を視野に入れた取り組みを開始している。それが「myThings」だ(関連記事:アボカドを監視してSlackで通知、“全てをつなげる”YahooのIoTプラットフォーム)

myThingsと「IDCF」チャンネルを利用した自作のIoTサービス
myThingsと「IDCF」チャンネルを利用した自作のIoTサービス。アボカドの熟れ具合をセンサーで測定してRaspberry Pi2からIDCFチャンネルを経由し、Slackに投げることができる

 myThingsは“全てをつなげる”を掲げるIoTプラットフォームで、登録されたさまざまなIoT製品やWebサービスの組み合わせ提供を可能にする。現在、その起点となっているのはスマートフォンアプリ「myThings」で、アプリには組み合わせ可能な製品やサービスが「チャンネル」として用意されており、「最高気温が高いと予想される日は、帰宅時間に合わせてエアコンを動かす」といった、複数製品/サービスの連携を利用者が容易に作成できる。

myThingsによって活動量計と連動し、起床を感知して喋るエアコン(イメージ)
myThingsによって活動量計と連動し、起床を感知して喋るエアコン(イメージ)

 APIの公開されたWebサービスを連携させるものとしては「IFTTT」が著名だが、myThingsではさらに一歩踏み込み、家電製品やマイコンボードなど物理的なデバイスまでも連携の対象に含めている。連携対象のデバイスはまだ限られているが、賛同企業にはシャープやソフトバンク、マイクロソフト、Twitter、Facebook、インテルなどが名を連ねており、一般消費者を対象としたIoTの取り組みのなかで存在感を高めていく可能性は高い。

 しかし、なぜ「コンシューマ向けインターネットサービス」を主業務とするヤフーが、デバイス(物理的な製品)の接続までも視野に入れた取り組みを始めるのか。その着地点はどこにあるのかなど、興味は尽きない。そこで同社でmyThingsを推進する椎野孝弘氏(同社 スマートデバイス推進本部 アプリ開発室 本部長 テクニカルディレクター)と中村浩樹氏(スマートデバイス推進本部 大阪開発室 リーダー)にmyThingsの現在地と、取り組みの狙いを聞いた。

なぜヤフーが「モノをつなげる」のか

――現在、IoTといえば「IIoT」のように産業向けでようやく具体例が散見される段階で、一般コンシューマ向けではAmazonの「Echo」「Nest」、Apple「Homekit」といった取り組みが散見される程度です。なぜコンシューマ向けインターネットサービスのヤフーがmyThingsを開始したのでしょうか。

椎野氏: ヤフーのスローガンは「インターネットを使って人々を幸せに」です。インターネットアクセスの手段がPCからスマートフォンへシフトしていく中、さらにその先、ポストスマートフォン時代を考え始めていた中、“IoT”というキーワードが浮上してきました。

 当初はバックエンド側のサービスをイメージしていたのですが、ヤフーとして何をすべきかと熟考すると、「エンドユーザーをつなげる」「エンドユーザーがつながる」IoTを推進するべきだろうという結論に達しました。それが2015年初頭の話です。

モノとWebサービスの“組み合わせ”を提供するmyThings

――「全てをつなげる」を掲げますが、接続できるハードウェアという面からすると、現在接続できるのはシャープの一部製品にマイコンボードの一部と寂しい気がします。

椎野氏: 確かに現時点で接続できる製品が製品が少ないとは思っています。いろいろなベンダーと話はしているのですが、“myThingsを使うことで利用者が得られるメリットの提示”が難しいという課題も認識しています。ですが、その提示と潜在的な利用者の告知をできる力がヤフーにはあるとも思っていますので、根気強くメリットの提示は続けていきたいです。

中村氏: 現在はWebサービス連携が先行していますが、本来はWebとモノを連携させることに特徴のあるプラットフォームですので、製品(ハードウェア)を持っている、製造している企業と話し合いの場を数多く設けています。

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