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“印刷”のCortex-M0から64bit化を推進するCortex-A35、mbed OSまで、ARMの示す未来像ARM TechCon 2015基調講演リポート(4/4 ページ)

英ARMが同社の取り組みを紹介する「ARM TechCon 2015」を開催した。内容は多岐にわたるが、ここではCTO Mike Muller氏による基調講演から、ローエンド64bitCPUやセキュリティ、mbed OSなど、ARMの目指す未来像について紹介する。

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「mbed OS 3.0」

 さて、ARM v8-Mの説明が終わったところで、次はいよいよmbed OS 3.0である。以前紹介した際には2015年10月15日にv3.0がリリースという予定だったが、やはり若干の遅れがあるようで、現状ではTechnical Previewというβ版状態ではある(関連記事:ARM「mbed OS」とは何か?その詳細と動向)

 ただそれでも既に提供は開始されている。入手はこちらから可能で、現状はOS 15.11が最新のものだ。この15.11ではターゲットボードとして「NXP JN5179」「STMicro Nucleo F401/DISCO-F4291」「Nordic Semiconductor nRF51 DK/nRF51822-mKIT」「BBC micro:bit」「Silicon Labs EFM32 Giant Gecko/EFM32 Happy Gecko」が挙げられてい、これ以外の製品も展示会場ではmbed OS 3.0を動かしての動作デモを行っており、それぞれのメーカーから必要なドライバ類が提供されると思われる。

 さて、そのmbed OS 3.0の最終的な構成がこちらだ(Photo28)。以前のこのスライドと比較していただくと、大きく異なる点として「セキュリティ向けのμVisorが搭載された」「mbed TLSが標準搭載された」の2点が挙げられる。

mbed OS 3.0の最終的な構成
Photo28 mbed OS 3.0の最終的な構成。朱色の部分がセキュリティ関係ということになる
2015年年頭時点でのmbed OSの構成
Photo28-1 2015年年頭時点でのmbed OSの構成

 このmbed OS μVisorは別にARM v8-MのTrustZoneモードに対応というワケではなく、既存のCortex-MベースのMCUで利用できる様にするためのものである。逆に言えば、TrustZoneモードがハイパーバイザーなしで利用できるといっても、実際にインプリメントを行う場合は何らかのハイパーバイザーを利用するのが現実的、ということなのかもしれない。

 これにあわせて同時に発表されたのが「mbed Device Connector」(Photo29)である。これは何か?という話を最初にしておく。以前の図では、mbed Deviceはまずmbed Device Serverに接続し、ここからCloud Serviceに接続する形態をとっていた。これはこれでいいのだが、ということはmbed Deviceを使う場合は必ずmbed Device Serverを立てないといけないことになる。この手間を省くのがmbed Device Connectorで、mbed Deviceをこのサービスにつなぐ事でそのまま(Device Server無しで)Cloud Serviceを使えるようにするというものだ。

mbed Device Connector
Photo29 なぜかこれと次のPhoto30は公開された基調講演のPDFに含まれて居ないので、会場で撮影したものを
まずmbed Device Serverに接続するという、以前の構成図
まずmbed Device Serverに接続するという、以前の構成図

 このDevice Connectorは基本的には接続サービスを提供するだけで、Device Serverの完全な代替になるわけではない事に注意して欲しい。ちなみにこのサービスはこちら( https://connector.mbed.com/ )で利用可能だが、開発者向けには最大100デバイス、毎時り1万リクエストまでは無料で利用可能(それ以上、あるいは商用利用に関しては別途課金が発生)となっている。また2016年には、このmbed Device Connector経由でアプリケーションの配布も可能になることも明らかにされた(Photo30)。

Device Connectorへアプリストアの機能を持たせる
Photo30 要するにDevice Connectorへアプリストアの機能の一部を持たせる形だが、どの程度の事が可能かなどはまだ不明

 基調講演の最後は、「何をもって評価するか」(Photo31)の変遷を示し、IoTの時代はセキュリティ要素を加味したものになる(Photo32)と締めくくってMuller氏の基調講演は終了した。

「何をもって評価するか」の変遷「何をもって評価するか」 Photo31 初期は性能/価格比だが、ノートPCになると消費電力の低さ、さらにMobile(スマートデバイス)になると単に消費電力というよりもバッテリー寿命がこれに加味された(写真=左)、Photo32 なぜか公開されているPDFでは「Scalability」が加味されているのだが、基調講演ではあくまで「Trust」のみが示されたので、こちらを紹介しておく(写真=右)

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