造船大手の設計部門向けに仮想デスクトップ環境を構築:CADニュース
ネットワンシステムズは、造船大手のジャパン マリンユナイテッド 横浜事業所の設計部門向けに、3次元CAD設計業務用の仮想デスクトップ環境を構築したことを発表した。
ネットワンシステムズは2015年11月10日、造船大手のジャパン マリンユナイテッド 横浜事業所の設計部門向けに、3次元CAD設計業務用の仮想デスクトップ環境(VDI)を構築したことを発表した。同年11月より稼働を開始しており、GPU仮想化技術により高い描画力の実現とコスト効率化を実現しているという。
これまでジャパン マリンユナイテッドでは、ワークステーションを利用して、船舶、艦艇、海洋浮体構造物などの3次元CAD設計業務を行ってきたが、「端末がある場所でしか業務が進められない」「端末上に大容量データがあり、他拠点と共有しづらい」「端末の運用負荷が高い」などの課題を抱えていた。
そこで、端末に依存しない画面転送型シンクライアントの検討を開始。しかし、2010年に検討したブレードPC方式では、描画力を高めるためにサーバに搭載するGPUの数を増やす必要があることから、コスト高となり採用には至らなかった。その後検討した仮想デスクトップでも、2013年当時はGPUを1つの仮想デスクトップが占有する技術(パススルー)しかなかったために集約率が低く、コスト面で見合わなかったという。
ネットワンシステムズはこうした課題に対し、VMware、Cisco Systems、NetAppの製品を組み合わせた事前検証済みの仮想デスクトップパッケージ「FlexPod」と、NVIDIAのGPU仮想化技術を組み合わせた基盤をジャパン マリンユナイテッドに提案。これにより、レスポンスタイムを高めつつ、コストも最適化される設計・構成を実現できたという。
NVIDIAのGPU仮想化技術を活用することで、仮想デスクトップそれぞれに対してGPUリソースを仮想分散して提供可能になり、集約率を向上することでコストを削減。また運用面でも、アプリケーションの追加やソフトウェアアップデートなどの作業がマスターイメージの修正のみで済むため、運用負荷の軽減に大きく貢献できるとしている。
導入に当たり、事前に専用の検証環境を設け、両社共同でパフォーマンス検証を実施。これにより、仮想GPUリソースの配分を含む仮想デスクトップ基盤全体での適切な設計を実現することができ、実際の3次元CAD設計業務への適合度合いを高めることに成功したという。
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