統計の食わず嫌いを直そう(その7)、「鎌倉時代の平均ワイン消費量」と「平均値の検定」:山浦恒央の“くみこみ”な話(79)(3/3 ページ)
「効果がある」と言うためには比較が必要です。新旧開発プロセスの生産性や品質の平均値を比べるためには、「平均値の差の検定」が必要となります。
4.検定とは
統計アレルギーの私は、「検定」という言葉だけで拒絶反応を起こしていました。大学院生のデータの分析法を見ると「平均」「標準偏差」「場合の数・確率」はすらすらできても、「推定・検定」に移った途端、死んだふりをします。
見たこともない複雑怪奇な数式のボディブローを10連発で食らって統計アレルギーとなり、勉強するモチベーションがマイナスになったと思われます。複雑な式は見かけだけで、決して難しくはありません。簡単に言うと、検定とは、自分の立てた仮説が本当に正しいかを統計的に確認する手法です。
5.平均の差の検定
プロセス改善の成果があったかどうかをチェックする最も簡単な方法は、全データから「新プロセス適用前」と「適用後」の2つのグループを作り、グループ間の母集団の平均に差があるかを確認する手法です。つまり、プロセス改善を実施し、差があると統計的に言えれば「効果あり」ですし、差が無ければ「効果無し」と断定できます。図.1に具体的な手順を示します。
図.1に検定を行う手順を示しました。検定を行う手順は、検証したい仮説を設定し、統計式に必要なデータを整理します。次に、両者のデータの差があるかを確認するために使用する検定量、有意水準を算出し、そこから仮説が確かかを判定します。「検定量」や「有意水準」という、初めて聞く三文字熟語、四文字熟語が出てきましたが、心配いりません。難しいのは字面だけです。豊富な例を使い、次号で解説します。
参考文献
[1] 『例題で学ぶ初歩からの統計学 第2版』 (白砂堤津耶 著、2015年、日本評論社)
『統計と確率ケーススタディ30―基礎知識と実戦的な分析手法』 (ニュートンムック Newton別冊)
『Excelで学ぶ統計解析入門 Excel2013/2010対応版』 (菅民郎 著、2013年、オーム社)
東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士)
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