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商習慣の違いを乗り越え、サプライチェーンを最適化する“ものさし”生産管理の世界共通言語「APICS」とは(2)(2/6 ページ)

グローバルサプライチェーンを運営していく上で“世界共通言語”とも見られている「APICS」を専門家が解説していく本連載。2回目はAPICSの「CSCP資格」について紹介する。

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キャッシュフローの価値をどう捉えるか

 例えば、ある海外企業の経営者と経営指標に関する話をした際、その経営者が最も重視していた点は「サプライチェーンプロセスにおける現金回収早期化」だった。つまりキャッシュフローである。SCM指標では「CCC(Cash Conversion Cycle)」といった指標である。日本商習慣の代表的な“ガラパゴス”である点の1つは「支払い」である。「月末締め翌月末払い」などまだ良い方で「翌々月払い」や「手形」などの商習慣が当たり前のように運用されている。

 お金の流れに沿ってサプライチェーン上流をたどっていくと、最終販売元となる大手企業にたどり着く。そこにひもづくサプライヤーが芋づるのように連なり、それぞれの長い支払いサイトでサプライチェーンを動かしている。会社規模によっては、資金繰りが困難なため、決済サービスを行う商社を経由した日本的サプライチェーンが構築されるケースもある。

 モノ・情報・お金の流れをできるだけリアルタイムに連鎖させ、利益と投資効率を最大化することを目的とするサプライチェーンマネジメントにおいて、このキャッシュフローを無視したお金の流れは、まさに“ガラパゴス”サプライチェーンの代表といえる。事業初期において資金繰りが必要なベンチャー企業が育ちにくい事業環境の根源の1つが、ここにあるのではないだろうか。下記に、APICSディクショナリーに定義されているCCCを紹介する。

Cash Conversion Cycle(CCC)

  1. In retailing, the length of time between the sale of products and the cash payments for a company’s resources.
  2. In manufacturing, the length of time from the purchase of raw materials to the collection of accounts receivable from customers for the sale of products or services.

現金循環化日数(運転資金回転期間)

  1. 小売業において、製品の販売から,企業の資源のための現金支払いまでの時間。
  2. 製造業において、原材料の購入か,製品やサービスの販売によって顧客から受領できる勘定の徴収までの時間。

 CCCは、グローバルSCMにおいて最も重要なお金の流れを表す指標として認識されているが、日系企業ではキャッシュフローについて鈍い面があり、認知度は低い。キャッシュフローを目標設定に提案すると、一旦は理解されるものの、実際には目先のコスト削減が主要ターゲットとなる傾向が多々ある。海外とのビジネス時に、このキャッシュフロー認識の相違点は大きな失敗リスク要因となるので、十分意識しておくべきである。次にVMIについても見てみよう。

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