トヨタの自動運転技術は「全ての人の安全かつスムースで自由な移動のため」:自動運転技術(2/4 ページ)
トヨタ自動車は東京都内で安全技術説明会を開催。「全ての人が、安全、スムース、自由に移動できる社会を実現するために、自動運転技術の開発を着実に進めている」ことを明言した。自動車専用道路向け自動運転技術の実験車両も披露。試乗の様子を動画で紹介する。
自律型と協調型の運転支援システムを知能化して実現する自動運転技術
トヨタ自動車は運転支援システムについて、Toyota Safety Senseのように車載センサーの検知結果から車両を自動的に制御するものを「自律型」、ITS Connectのように通信技術を用いるものを「協調型」と呼んでいる。そして、自動運転技術は、これら自律型と協調型の運転支援システムを融合し知能化することによって実現できるという。
葛巻氏は、「自動運転技術は手段であり、何のために使うかが重要だ。トヨタ自動車は、全ての人が、安全、スムース、自由に移動できる社会を実現するために、自動運転技術の開発を着実に進めている」と語る。
同社は今回の説明会に合わせて、自動運転技術に対する同社の考え方を「Mobility Teammate Concept」としてまとめた。Mobility Teammate Conceptは、人とクルマが同じ目的で。ある時は見守り、ある時は助け合う、気持ちが通った仲間(パートナー)のような関係を築き、クルマを操る楽しさと自動運転を両立させる考え方である。「これでトヨタ自動車の自動運転に対するスタンスをはっきり示したと考えている」(葛巻氏)という。
Mobility Teammate Conceptは、「運転」知能化、「つながる」知能化、「人とクルマの協調」のための知能化、という3つの知能化に支えられている。今回の説明会では、「運転」知能化で幾つかの取り組みが示された。
1つは、一般的な車載カメラで走行路を撮影するだけで、3次元の高精度地図データを作成できる技術である。豊田中央研究所が開発しているもので、まずは走行路を撮影した連続写真データと、車両に搭載したGPSの位置情報を合成して補正をかける。補正済みデータを通信でセンターにアップし、合成写真と走行軌跡、交通規制情報、ノード情報を組み合わせて処理すれば、3次元の高精度地図データを作成できる。
自動運転技術を実用化する上で重要な役割を果たすといわれている3次元の高精度地図データを作成するには、3次元レーザースキャナーなどを搭載する専用車両が必要だった。この技術を使えば、車載カメラと通信ユニットを搭載するだけで良くなるので、3次元高精度地図データを作成する上でのハードルが大幅に下がることになる。
もう1つは、車載センサーや路車間/車車間通信などによって得た情報から適切な運転操作を判断する人工知能である。「先述した、全ての人に移動に自由をもたらすような自動運転技術には、人工知能がそれまで学習した以外の、初めての場面であっても適切な運転操作を行えなければならない。そのためにはかなり高度な人工知能の技術が必要になる」(葛巻氏)。
トヨタ自動車は2015年9月、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学の2大学と連携研究センターの設立、今後5年間で合計5000万米ドルの投資、DARPA(国防高等研究計画局)で災害救助ロボットコンテスト「DARPA Robotics Challenge(DRC)」のプログラムマネジャーを務めていたギル・プラット(Gill A. Pratt)氏の招聘(しょうへい)を発表している。これらは、トヨタ自動車の考える自動運転技術を実現するのに必要な人工知能の技術開発が目的となっている。
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