UMLやSysMLを活用できないエンジニアのための実践的活用術(前編):プロジェクトを成功させるモデリングの極意(1)(3/6 ページ)
モデリングの手法やツールの基礎を覚えるだけでなく、モデリングの目的やその本質をつかんで、ソフトウェアの開発現場で実際に役立つように基本を学んでいきましょう。
モデリング手法めぐり
ここではソフトウェア開発におけるモデリング手法にはどんなものがあるかを一巡りしていきましょう。
ソフトウェア開発では多くのモデリング手法がありますが、これを図とともに簡単に見ていきましょう。
UML(Unified Modeling Language)
UMLはソフトウェア開発で一番流行しているオブジェクトモデリング手法です。UMLは「Unified Modeling Language」の略で、ブーチとヤコブソン、ランボーの3人のメソロジストによって作られました。図1にクラス図を、図2にユースケース図を、図3にシーケンス図の例を示します。
UMLではこれらを含む13個の図があり、クラス図ではクラスの静的側面を名前と属性、操作の3区画で表現し、クラス間を複数の関係で記述していきます。UMLに関する最初の注意としては、これらの図を多く作らないことです。必要な図を必要なときだけ必要な箇所でのみ作るようにしてください。
この連載では個々のモデリング手法については深入りすることはしませんが、モデリングの手法としてはUMLが多く使われていますので、モデリングのコツをつかんでもらうためにも、UMLの長所と短所を後ほど紹介します。
SysML(Systems Modeling Language)
SysML はSystems Modeling Languageのことで、名前の示す通り、システム工学向きのモデリング言語です。SysMLはシステム工学向きだけでなく、要求図やパラメトリック図などの追加が行われ、また、より少ない図で記述できるようになっており、ソフトウェア開発にも利用できます。
図4にSysMLで新たに加わった要求図の例を、図5にパラメトリック図の例です。要求図は名前の通り、要求を記述するモデル図で、パラメトリック図は実装の制約条件を記述する図になっています。ここがUMLよりも進歩しました。
このSysMLも組み込み系開発では比較的使われています。「UMLとSysMLを知っていても活用できていない」というフレーズをこの連載記事に付けたのも、この2つのモデリング手法が多く使われているからです。後でUMLとの比較やSysMLの利点と欠点、使いこなしのコツを紹介します。
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