物流倉庫の集品作業を自動化する、自律移動型双腕ロボットの制御技術を開発:FAニュース
日立製作所は、物流倉庫での集品作業の自動化に向け、商品の保管棚まで移動して目的の商品を取り出し、箱詰めまでを行う自律移動型双腕ロボットの制御技術を開発した。
日立製作所は2015年8月25日、日立物流の協力の下、物流倉庫での集品作業の自動化に向け、商品の保管棚まで移動して目的の商品を取り出し、箱詰めまでを行う自律移動型双腕ロボットの制御技術を開発したと発表した。
今回日立では、走行台車の上に高さを調節する昇降台を載せ、さらに2本の市販の産業用アームと、手作業の手に相当するグリッパを搭載した自律移動型双腕ロボットを製作。集品作業の要となる走行台車・昇降台・2本のアームの各機構を、少ない通信量で効率的に連携できるように制御する技術を開発した。
開発された制御技術では、走行台車・昇降台・アームの連携動作を制御する他、商品に応じて2本のアームの連携動作を制御できる。これにより、各機構が連携していないロボットが7秒かかっていた商品の取り出し作業を、移動中に商品を認識して取り出し動作を開始することで、3秒に短縮している。
さらに、1本のアームでは取り出せない箱(奥行き約30cm、重さ約1kg)を2本のアームで取り出す動作、保管箱の中の500mlペットボトル飲料を取り出す動作など、人手を前提とした倉庫の集品作業に必要な動作を実行できることを確認した。
日立では、同制御技術を搭載したロボットにより、人手を前提とした多品種少量の商品を扱う倉庫で、集品作業を効率的に実施することが期待されるとしている。
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