スマートエントリーがあれば鍵を開けなくてもクルマに入れる!?:いまさら聞けない 電装部品入門(21)(3/4 ページ)
携帯キーを身に付けている状態で車両に近づくだけでドアの開錠を行えるスマートエントリー。極めて利便性の高い電装部品だが、無線を用いていることによる使用上の注意点もある。
施錠時(施錠ボタン付きの場合)
施錠OKと車両側が判断するためには幾つか条件があります。
イグニッションスイッチが完全にオフ状態であること、全てのドアが物理的に閉まっていること(鍵ではなく開閉状態)、車室内にスマートキーが存在していないことなどです。
仮にエンジンが始動している状態で外から施錠できてしまうと、安全面含めて非常に危険です。ドアが閉まっていない状態もそうですね。これでは施錠する意味がありません。
車室内にスマートキーが存在していないことも非常に重要です。ついうっかりスマートキーを足元に落としてしまっている状態で施錠できてしまうと「インキー状態」になってJAFなどの救援を受けて強制的に鍵を開けなければいけなくなります。
車内LFアンテナは、車室内にスマートキーが存在しているか否かを常に監視していますが、監視距離(電波強度)については極めて難しいセッティングが必要です。
仮にドア付近の車外まで監視電波が漏れてしまうと、車外から施錠しようとしても車内に存在すると勘違いしていまい、いつまでたっても施錠できないという事態に陥ります。つまり車外には電波が漏れない絶妙な電波強度を設定する必要があるのですが、この考え方のために車室内でも電波がほとんど届かない弱電波エリアが必ずできます。
この特定のエリアにスマートキーを落としてしまうと、車室内にスマートキーは存在していないという認識になり、外から施錠できたり、エンジン始動できなくなったりといったさまざまな不具合を誘発します。
施錠可能な条件がそろった状態で、アウターハンドル近辺にあるロックボタンを押すと、開錠時同様に信号のやりとりが行われ、施錠完了と同時にアンサーバックにより操作者へフィードバックします。
エンジン始動時
車内LFアンテナは、スマートキーが車内に存在しているか常に監視をしています。エンジン始動中に車室内からスマートキーの存在が消えたと判断できた場合は、警告音などでドライバーに注意を促します。
ただし注意を行うタイミングはさまざまで、間違いなく乗員が車内から乗降したと考えられるドアの開閉がトリガーになっているケースもあります。
スマートキーの存在が消える最も多い要因は、スマートキーを携帯している人がドアを開けて車外へ出てしまう場合です。しかし、他にも以下のような要因があります。
- ドアポケットにスマートキーを入れている状態で、ドアを開ける(ドアが開いている状態では車内LFアンテナが認識できない)
- 車室内の弱電波領域にスマートキーが入ってしまった状態
- スマートキーが携帯電話機のような電波を発信する機器と密着して保管され、電波干渉により車内LFアンテナが認識できない
- スマートキーが電池切れ
昨今、スマートキーが車室内にない状態でエンジンが始動しているのはおかしいといった意見も出ているようですが、先述したようにさまざまな要因でスマートキーを認識できなくなるケースがあります。
これらの要因を想定すると、スマートキーが車室内にない状態でエンジンを強制停止するリスクは、エンジンが始動しているリスクよりも圧倒的に高いことは一目瞭然であると思います。
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