第41回 IBIS AMIの基本:前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/3 ページ)
実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第41回はIBIS AMIの基本について解説する。
2.IBIS AMIモデルの構造
IBIS AMIモデルの基本的な構造はこれまでのIBISモデルと変わりません。
ヘッダ部、パッケージモデルなどの定義は全く同じですが、ドライバ、レシーバのIOモデルの定義部だけが異なります(図9)。
一般のIBISモデルではドライバ、レシーバの特性は、素子の入出力インピーダンスを定義するI-V特性(図10)と、ドライバの立ち上がり/立ち下がり特性を定義するV-T特性(図11)を定義しています。
これらの特性は表(Table)形式で定義されています。図12にIBISのI-V特性、図13にV-T特性定義の一部を示します。
IBISモデルの最初の定義であるVersion 1では33MHzや66MHzなど100MHz以下の速度が対象として考えられていたため、信号周波数に対して、素子の立ち上がり/立ち下がり時間は十分に小さいものとして扱えました。このため、Version 1のV-T特性は詳細な表形式ではなく、単純な立ち上がり/立ち下がり時の速度(dv/dt)の定義だけでした。IBISモデルは全てのバージョンに対して互換性があるように定義されているため、Version 2からV-T Table定義が追加されても、最新バージョンまで、このdv/dt定義は必須定義とされています(図14、図15)。
IBIS AMIでは基本的にはこれまでのIBIS定義と同じで、I-V特性、V-T特性の定義があります。
しかし、この特性の定義は非常に簡単なもので、I-V特性は最大、最小、0の3点、V-T特性はdv/dtの定義だけになっています。実際の解析に使う特性は、IBISモデルとは違うファイルで定義されています。
このため、IBISモデルには、この別ファイルの名前が記述されています。IBIS AMIで呼び出すファイルは .dll と .ami の拡張子の付いた2つです。
Algorithmic Modelと呼ぶ通り、.dllファイルはプログラムの実行形式です。プログラムは、OSやCPUなど、実行環境とプログラムが合っていないと実行できません。
このため、AMIモデルで、.dllファイル名の定義文には、ファイル名の他、実行環境が定義されています。
実行環境が一致しないコンピュータではIBIS AMIモデルは使えません。
解析を実行するCPUにあったIBIS AMIモデルを用意する必要があります。
.amiファイルはASCIIテキストファイルで、IBIS AMIモデル定義と.dllプログラムとの間で、パラメータを受け渡すパラメータ定義ファイルです。
IBISモデルはIBISファイルだけがあれば解析ができましたが、IBIS AMIモデルは、IBIS AMIモデルとプログラムファイル、パラメータファイルの3つがないと解析ができません。
図16、図17にこのIBIS AMIファイルのIOモデル部のサンプルと説明を示します。
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