Googleが街を再構築する〜街のIoT化がもたらすもの〜:Sidewalk(1/5 ページ)
「都市生活の改善」を掲げるGoogleが立ち上げた「Sidewalk Labs」だが、詳細は明かされていない。しかし、「LinkNYC」などさまざまな取り組みを重ね合わせるとその狙いが透けて見える。
2015年6月10日、Googleが新たな子会社設立を発表した。「Sidewalk Labs」(以下:Sidewalk)だ。GoogleはSidewalkの設立目的として「都市生活の改善に取り組むこと」を挙げている。
そしてその後の8月10日、Google元CEOであるLarry Page氏は、新たに持株会社「Alphabet」を設立してそのCEOを務め、その傘下にGoogleやNest Labsなど各種事業体を置くことを発表した。もちろんその中にSidewalkも含まれている。
Sidewalk自体がまだ計画フェーズにあり公開情報は少ないものの、Googleの各種アクションから、様々な可能性があることは感じ取れる。
本稿では「街のIoT化」について取り上げつつ、「都市生活の改善に取り組むこと」を目的に掲げるSidewalkの狙いについて考察したい(以下では、特に断りがない限りにおいて「Google」は8月10日以前のGoogleのことを指す)。
Sidewalk Labsとは
「Sidewalk Labs」とは、ニューヨークに拠点を置くGoogleが設立した子会社である。最高経営責任者(CEO)には、2002年にニューヨーク市副市長に就任し、グラウンドゼロの再開発や大規模住宅計画等に尽力した、元BloombergのCEOであるDan Doctoroff氏が就任した。
Sidewalkの設立目的についてLarry Page氏は「都市生活、移動手段、エネルギー消費などの都市特有のあらゆる問題を解決するための技術を開発することで、すべての都市住民の生活を向上させること」だと語っている。設立以降も、具体的な事業内容が明らかではなかったが、2015年6月22日にIntersectionを設立したことによりその取組と狙いが徐々に明らかになりつつある。
Intersectionとは、Sidewalkが率いる投資家のコンソーシアムが、米Control Groupと米Titanを買収・合併して設立した企業である。Control Groupはさまざまな公共交通機関や空港、小売店等と顧客をつなぐ最先端インタフェースの開発に取り組んでおり、一方Titanは屋外向け広告配信ビジネスを展開している企業だ。
Intersectionの設立目的として「コネクティビティ」「行政サービス」「市民とのエンゲージメント」を連携させる新たなモデルを世界中の都市に展開することを掲げており、そしてそのカギとなるのが「Link」だ。
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