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BDレコーダー開発を例にした「組み込みシステム開発」概要組み込み機器開発入門(2)(2/4 ページ)

専用機である「組み込み機器」の開発に際しては、ハードとソフトの双方に渡る開発が必要となるケースがほとんどです。身近な家電である「BDレコーダー」を例に、開発の手順について解説します。

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組み込みシステム開発の流れ

 組み込みシステム開発は多くの場合、以下のような流れになります。

  • 1 機能の抽出
  • 2 システム設計
  • 3 ハードウェア設計
  • 4 ソフトウェア設計
  • 5 実装
  • 6 デバッグ
  • 7 環境試験

 では、各工程について細かく見ていきましょう。

1 機能の抽出

 白物家電に代表される洗濯機、冷蔵庫をはじめ、カメラ、PC、携帯、スマートフォン、プリンタ、自動車、カーナビなど、どのような製品開発でも同様ですが、まずは開発する機器に必要な機能を抽出し、製品スペックを決定します。

 例えば、BD/DVDレコーダーでは以下のような機能を抽出します。

  • テレビからの映像信号を受信してHDDに保存する機能
  • HDDの容量を節約するために保存するテレビ映像を圧縮する機能
  • 2番組同時録画のためのダブルチャンネル録画の機能
  • 動画編集や圧縮された動画を適切に映像化する機能
  • 早送りや巻き戻し、倍速再生、一時停止、レジューム再生といった再生制御機能
  • レコーダーに保存した映像をスマートフォンやタブレットに転送するなどの、他システム連携機能
BD/DVDレコーダー
BD/DVDレコーダー

 組み込みシステム開発は、機器に搭載したい機能を抽出することから開始します。次に、これらの機能を実現するためにシステム設計を行います。

2 システム設計

 システム設計では、抽出した機能を実現するために必要なソフトウェア、ハードウェアを洗い出します。

 では、DVDレコーダーに必要なハードウェアにはどのようなものがあるでしょうか。

 外部とのインタフェースとしては、テレビ、HDD、スマートフォン、タブレット、USBメモリなどと接続することになります。テレビとの接続には現在の主流であるHDMI、HDDとの接続には、SATAを利用するのが一般的でしょう。スマートフォン、タブレットとの接続には無線LANが考えられます。

 DVDレコーダーは、再生の制御や保存している映像の操作を行うため、ユーザーインタフェースとしてメニュー画面が必要になります。メニュー画面を作りやすいOSとしては、Linux、Android、Windows Embeddedなどが挙げられますが、今回は組み込み機器への利用例が多く、ライセンス費が比較的安く済むLinuxを使うこととしましょう。

 Linuxを使う場合には、CPUは500MHz程度の性能があれば問題ありません。ただしDVDレコーダーでは、Linux以上に処理能力を要する動画圧縮、動画伸張の処理が欠かせません。そのため、動画圧縮伸張機能が搭載されたCPUと、「Linuxカーネル」を動かすことを考え512MbyteのRAMを搭載しましょう。

 これでハードウェアとソフトウェアの洗い出しが終わりました。次に、ハードウェア設計とソフトウェア設計、実装を進めていきます。

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