2つの「YAMAHA」がデザイン交流する理由――両デザイン部門トップに聞く:クルマから見るデザインの真価(5)(2/4 ページ)
楽器のヤマハが乗り物、乗り物のヤマハ発動機が楽器という形で、それぞれのデザイン部門がアイテムを交換してデザインする「project AH A MAY(プロジェクト アーメイ)」が話題になっている。両社はなぜこのような形でデザイン交流を始めたのだろうか。両デザイン部門のトップに話を聞いた。
「ヤマハらしさ」を見いだすためのプロジェクト
project AH A MAYという名称は「YAMAHA」を裏返したもの。これは、「ヤマハ」というブランドをともに使用する両社が、互いを「鏡」に見立て、デザインを通じて互いを映し出すことで、相互に刺激を与え合うと同時に両社に共通する「ヤマハらしさ」を見いだすことを目的としている(プレスリリースより)。
これまでにヤマハとヤマハ発動機がデザインでコラボレーションを一切やってこなかったわけではない。2003年10月の「TOKYO DESIGNERS BLOCK 2003」に出展した「Black」をテーマに据えた楽器「Black Yamaha」や、同時期の「東京モーターショー2013」で公開された電動二輪車コンセプト「dolsa wind」などがある。しかしいずれも単発で終わっており、線になって続くものではなかった。
2つのヤマハのデザイン部門が、今後の継続性を含めて、ガッツリと向き合って1つのことをやるという意味では初の試みと言っていい。アイデンティティーや「らしさ」が重要な今の時代性のみならず、やはりヤマハ発動機の内部にデザイン部門ができたということが、両者(両社)を動かす原動力としては大きかったのではないだろうか。
このproject AH A MAYと同時に、長屋氏が川田氏にもう1つ提案したものがある。それは、これまで両ヤマハの社会貢献の一貫として共催してきた、「Graphic Design Award by Yamaha」というグラフィックデザインの国際コンテストを通じて、「Two Yamahas」のシンボルマークをつくるというもの。2つのヤマハに共通するのは「感動」というキーワードだが、それを表現するシンボルマークがない。コンテストで選ばれたデザインを今後の「Two Yamahas」の活動でシンボルマークで使っていくことで、2つのヤマハでコンテスト共催する意味合いもより明確になる。
今回のTwo Yamahas, One Passion〜デザイン展2015〜でも、コンテストで選ばれたシンボルマークが会場のあちらこちらで使用されていた。
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