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学校に3Dプリンタがやってきた! 高校生が初めてのデジタルものづくり体験未来の授業風景がここに(1/2 ページ)

千葉県立犢橋高校で3次元CADと3Dプリンタを使った授業が行われました。授業に挑戦したのは、3カ月前まで1度も3次元CADを触ったことがなかった1人の先生。果たして授業は成功したのでしょうか。

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 2015年7月10日、千葉県立犢橋(こてはし)高等学校にて「3D CAD講習会」という授業が行われました。

 この授業を受けたのは、事前公募で集まった20人の生徒たち。授業は、小さなクルマを3次元CADで設計/3Dプリンタで出力し、ノック式ボールペンで弾いて飛距離を競うという、「学ぶ」「作る」「遊ぶ」を半日で体験できる内容です。


犢橋高校のコンピュータ室に集まった生徒たち
犢橋高校のコンピュータ室に集まった生徒たち

 授業を企画したのは、犢橋高校で情報の授業を担当している有村一成先生。有村先生は、2015年5月にアーツ千代田3331で開催された「モデ1GP」に参加していました。同イベントで初めて3次元CAD/3Dプリンタに触れた有村先生は、「モデ1GPと同じフレームワークで、生徒たちにも新しいモノづくりを体験させてあげたい!」と、XYZプリンティングジャパン マーケティング部マネージャーの新井原慶一郎さんに相談。今回の授業が実現しました。犢橋高校で3Dプリンタを使う授業は初めてとのこと。果たして授業はうまくいったのでしょうか?

XYZプリンティングジャパンより提供された「ダヴィンチ1.0A」 4台
XYZプリンティングジャパンより提供された「ダヴィンチ1.0A」 4台
授業を企画した有村一成先生。もちろん3次元CAD講座も有村先生が自ら行った
授業を企画した有村一成先生。もちろん3次元CAD講座も有村先生が自ら行った

 今回、事前公募で生徒を募ったそうですが、1週間もたたないうちに定員オーバーになってしまったそうです。この結果からも生徒たちの「3Dプリンタを見てみたい」「何か作ってみたい」という関心の高さが伺えます。

理想のデザインを3次元CADで再現するのは難しい!

 授業は、「Autodesk 123D Design」を使ってクルマを設計するところから始まりました。もちろん、生徒たちが3次元CADを使うのは初めてです。「まずは直方体を作りましょう」「その上にスケッチを描いて」……と基本的なコマンドの使い方を交えながら、講座は進んでいきます。一通り使い方を覚えたら、自由にデザインする時間です。

友達同士で教え合いながら3次元CADを学ぶ生徒たち
友達同士で教え合いながら3次元CADを学ぶ生徒たち

 この授業の前、実は生徒たちに”宿題”が与えられていました。「あらかじめ作りたいクルマをデザインしてくる」というものです。

好きなミニカーと「ポチ号」を書いてきた女子生徒のデザインシート(左・クリックで拡大)/バスが好き過ぎて、細かいところまでデザインしてきた男子生徒のデザインシート(右・クリックで拡大)
「どうしても好きな戦車を作りたい」と戦車閲覧アプリ(左・クリックで拡大)でじっくりと研究を重ねている男子生徒。すごい熱意!(右・クリックで拡大)

 ユニークなデザインが集まりましたが、3次元CAD初心者である生徒たちの実力でどこまで再現できるのか……と危惧していたのもつかの間、生徒たちはどんどん3次元CADの使い方を吸収し、2時間半の3次元CAD講習でじっくりと自分のクルマを作り上げていきました。

すごい完成度で出来上がるバス。驚きの吸収力だ
すごい完成度で出来上がるバス。驚きの吸収力だ(3Dデータはこちら

 しばらくして全員の3Dデータがそろいました。3Dプリンタで出力している間は、生徒一人一人が自分の作品を紹介するライトニングトークが行われ、こだわったポイントなどを発表していきます。「わずか半日でここまで上達できるのか!」という驚きとともに、「本当はもっとこうしたかった!」「次に出力するときはもっと改善したい」などの前向きな反省コメントが多かったのも印象的でした。こうしたコメントが生徒たちの口から出てきた時点で、この講習会は成功したといえるではないでしょうか。

ついに出来上がった戦車、と喜ぶ男子生徒(左・クリックで拡大)/一方途中でソフトが落ちてしまい、当初のイメージとは異なる非常に薄いボディになってしまった男子生徒(右・クリックで拡大)
出力中の3Dプリンタに目がくぎ付けの生徒たち。「意外と時間かかる!」という感想が多かった
出力中の3Dプリンタに目がくぎ付けの生徒たち。「意外と時間かかる!」という感想が多かった
途中、新井原さんによる3Dプリンタの動向を分かりやすく解説したプレゼンも行われた
途中、新井原さんによる3Dプリンタの動向を分かりやすく解説したプレゼンも行われた
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