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カーエアコンの暖房はなぜ暖かくなるのかいまさら聞けない 電装部品入門(20)(2/4 ページ)

カーエアコンが活躍するのは暑い夏の日だけじゃない。寒い冬の日に車室内を暖めてくれる暖房も重要な機能の1つだ。今回は、カーエアコンの暖房の仕組みに加えて、嫌な臭いを防ぐエアコンフィルター、設定温度に合わせて車室内の空調を自動で行ってくれるオートエアコンについても説明する。

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ブロアファン

 ブロアファンはシロッコファン(多翼送風機)を採用しており、このファンをモーターで回転させることで空気の吸入から排出(送風)までを行います。

 先ほど紹介した「イラスト:空気の流れ」をあらためてご覧いただくと分かるのですが、ブロアファンによって吸入された外気は、直接エバポレーターとヒーターコアを通過します。

ブロアファンの外観
ブロアファンの外観

 ご存じの通り、外気には埃や排気ガスはもちろん、カビ類や細菌類、花粉などの異物が浮遊しています(こういう表現をしたらゾクッとしてしまいますが、事実ですのでご了承ください)。

 特にエバポレーターは空気中の水分によって湿っていることが多く、これらの異物を取り込みやすい状態です。

 その異物に含まれている菌類は、湿気や暖かい場所を好む傾向が強く、エンジン(コンプレッサー)を停止してエバポレーターが常温になりはじめた時点から増殖を始めてしまいます。

異物が堆積したエバポレーター
異物が堆積したエバポレーター

 エバポレーターほど異物を取り込みやすいわけではありませんが、ヒーターコアもフィン形状をしていますので、避けようとしてもどうしても異物が付着します。

 コンプレッサー作動中はエバポレーターによって湿気のない空気だけが送り込まれていますが、停止中は同じ密閉空間にいるエバポレーターの水分が蒸発することで、湿度は飽和状態に近づきます。

 さらにエバポレーターとは違い、ヒーターコアは常に暖かい環境下にいると言っても過言ではありません。菌類にとっては幸せな環境です。

 ここまでは外気由来の異物についてお伝えしましたが、車室内から出てくる内気も決してきれいだとはいえません。

 人が常に存在している空間というのは、湿気はもちろん、さまざまな菌類も体外に放出しています。外気は汚いからといって意図的に内気循環だけで使用されている方もいらっしゃるそうですが、それは換気していない湿気だらけの部屋と同じです。逆に不健康な状態を作っている可能性が高いとも言えますのでご注意ください。

 さらに異物付着の観点で最も悪影響を及ぼすのがタバコです。ご存じの通り、タバコの煙に含まれているニコチン/タール成分は強臭を持った粘性であり、エバポレーターやヒーターコアのフィンに根強く付着します。

 粘性物質ですので、他の異物がいつも以上に付着しやすい環境も作ってしまいます。とにかく悪循環かつ除去が困難な状況となります。

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