「Kinect for Windows」を3Dスキャナとして活用する:Kinectで3Dスキャンして3Dプリントを楽しもう(1)(2/4 ページ)
モーションコントローラーデバイス「Kinect for Windows」で対象物を3Dスキャンして、3Dプリントするまでの手順を詳しく解説する連載。第1回は、全体像の把握を目的に、Kinect for Windowsを用いた3Dスキャンから、3Dデータの修正および3Dプリントまでの流れを紹介する。
どうやって3Dデータを準備するのか?
3Dプリントの大まかな流れを理解できたら、後は3Dデータを準備するのみなのですが、どうやって3Dデータを用意したら良いのでしょうか?
一般的なドキュメントやデジタル画像の印刷のようにはいきません。少々複雑です。
3Dデータを準備する方法は、大きく3つあります。
- 自分で作る:3次元CADやCGツールを用いて3Dモデリングする
- スキャンする:3Dスキャナを用いて物体をスキャンして3Dモデル化する
- ダウンロードする:「3Dモデラボ」のような共有サイトから入手する
1.3Dデータを自分で作るとなると、3Dモデリングツールの使い方や設計スキルが必要となります。動画1で紹介したようなマグカップ程度であれば、インターネット検索でいくらでも情報が出てきて、初心者でも見よう見まねで作ることができます。しかし、もっと複雑な形状や機構的な要素の入ったデザインの場合はそうはいきません。また、3.のデータダウンロードの場合、非常に手軽に3Dプリントを楽しむことはできますが、欲しいデータがなかった場合、どうすることもできません。
Kinectで3Dスキャンする
そこで、今回は2.のスキャンする方法を紹介したいと思います。「3Dスキャンを行う」と聞くと、高価な専用装置や設備が必要になると思われるかもしれませんが、本連載では、より手軽にどなたでも3Dスキャンが楽しめるように、Kinect for Windowsと「Windows 8.1」搭載PCを用いて3Dスキャンを行っていきます(図5)。
Kinectは、マイクロソフトの据え置き型ゲーム機「Xbox 360」「Xbox One」用のモーションコントローラーデバイスです。赤外線を使って距離を測定でき、取得した距離情報を使って人の動きを検出することができます。これによって、プレイヤーはゲームコントローラーを手に持たずに、体を使ってゲームを楽しむことができます(図6)。
Kinectで有名な機能はモーション(動き)をセンシングすることですが、その本質は距離のセンシングであり、距離データを使って3Dスキャンを行う「Kinect Fusion」と呼ばれる機能が備わっています。本連載では、このKinect Fusionを用いて3Dスキャンを行っていきます。
マイクロソフトは、Windows PCでも利用できるKinect for Windowsを提供しています。初代「Kinect for Windows v1」(Xbox 360付属と同じ形状のもの)や、「Kinect for Windows v2」(Xbox One付属と同じ形状のもの)をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。本稿では、Kinect for Windows v2を用いて解説します。
ちなみに、両製品とも2015年内で販売終了する旨がアナウンスされています。今後はXbox One向けに提供されている「Xbox One Kinect センサー」と、「Xbox One Kinect センサー用 Windows PC アダプター」の組み合わせにより、Windows PC環境でKinectを利用することができます(図7)。販売価格(税込み)は、Xbox One Kinect センサーが1万6178円で、Xbox One Kinect センサー用 Windows PC アダプターが5378円となります。
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