3次元計測はロボットアームにおまかせ! 自動車をそのまま計測可能――ニコン:DMS2015
ニコンは「第26回 設計・製造ソリューション展」で、同社の非接触3次元測定機と産業用ロボットを組み合わせたデモンストレーションを披露した。
ニコンは「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」(2015年6月24〜26日の3日間、東京ビッグサイト)で、同社の非接触3次元測定機を利用して自動車の形状測定を行うデモンストレーションを展示。3次元測定機と産業用ロボットの組み合わせで実現する高効率な測定をアピールした。
非接触3次元計測機×産業用ロボット
デモンストレーションでは、ニコンの大規模空間向け非接触3次元計測機「Raser Radar」を、ドイツのKUKA製の産業用ロボットに取り付けた。Raser Radarはマーカーやターゲットを使用せずに、最大50mまで測定が可能。赤外線変調方式を採用しており、表面の反射率が高いものや低いものなど、幅広い対象物を測定できるのが特徴だ。本体価格は約4000万円から。
Raser Radarは米国の複数の大手自動車メーカーが採用しており、最近では電気自動車の生産工場にも導入されたという。欧州での導入も進みつつあり、今回のDMS2015では「欧米での実績を受けて、日本市場でもこうした産業用ロボットと組み合わせた測定ソリューションがどう受け止められるかを確かめたいと考えた。こうしたシステムであれば最大で従来比10分の1の時間で計測を行える」(ブース担当者)という。
Raser Radarと産業用ロボットの制御用ソフトウェアには、フランスのmetrologic groupの「Metrolog X4 iRobot」を使用。これは同社の計測機器の制御用ソフトウェアである「Metrolog X4」に、さらに産業用ロボットも制御できる機能を加えた製品だ。Metrolog X4 iRobot上からロボットと測定機をまとめて制御することが可能で、一般的なロボット計測システムのように、ロボットと計測機のそれぞれの制御用ソフトウェアを同期させる手間を省けるというメリットがある。
Metrolog X4 iRobotは複数の大手メーカーの3次元CADに対応しており、日本では三井造船システム技研が2015年度より提供している。デモンストレーションでは検査作業をイメージして、Metrolog X4 iRobot上でRader Raderで測定した自動車の3次元データを3次元CADの情報と比較検証する様子が披露された。
Metrolog X4 iRobotはKUKA、安川電機、FANUC、ABBなど大手メーカーの産業用ロボットに対応。計測機はニコンの他、クレアフォーム、ライカ、スタインベクラなどの一部機種に対応している。ニコンのブース担当者は「新工場を建設するタイミングなどに合わせ、非接触3次元計測機と産業用ロボットの活用による省人化や効率化のメリットを提案していきたい」と語っている。
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