電気オート三輪がカーブで転倒しない仕組み、「加速度センサーは使っていない」:電気自動車(1/3 ページ)
日本エレクトライクが開発したオート三輪ベースの電気自動車(EV)「エレクトライク」が国土交通省の型式認定を取得した。オート三輪の最大の課題である、カーブを曲がる際の不安定さを、後2輪にそれぞれ直結したモーターの個別制御により解決したことを最大の特徴とする。
ベンチャー企業の日本エレクトライクは2015年6月15日、神奈川県川崎市の市庁舎で会見を開き、同社が開発したオート三輪ベースの電気自動車(EV)「エレクトライク」が、国土交通省の型式認定を取得したと発表した。
エレクトライクは、国内では戦前から戦後直後にかけて広く利用された前1輪/後2輪のオート三輪をベースにEVに仕立てた車両である。オート三輪の最大の課題である、カーブを曲がる際の不安定さを、後2輪にそれぞれ直結したモーターの個別制御により解決したことを最大の特徴とする。
乗車定員は運転席の1人だけだが、荷室の最大積載重量が150kgあることから、近距離での郵便や貨物などの集配業務を主な用途と想定している。販売目標台数は2015年度が100台、2016年度が200台。価格は、満充電からの走行距離が約60kmの「Aグレード」が160万円、約30kmの「Bグレード」が130万円。国土交通省の型式認定を取得したことにより、EVを購入する際に政府が補助金を支給する「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(CEV補助金)」の対象車になる。補助額は30万円なので、約100万円から購入することが可能だ。
同社CEOの松波登氏は、「ベンチャー企業にとって自動車の型式認定を取得するハードルは高い。大変困難だったが、やっとのことで取得できた。しかしこれはゴールではなくスタート。川崎市から、神奈川、東京などの首都圏、そして日本国内での普及を目指したい。また、通常のエンジンを搭載するオート三輪が普及している東南アジアにも普及できれば、東南アジアの大気汚染改善にも貢献できるだろう」と語る。
左から、日本エレクトライクの松波登氏、エレクトライクに乗車する川崎市長の福田紀彦氏、川崎商工会議所会頭の山田長満氏。エレクトライクを試乗した福田氏は「操作に対してビビッドに反応するので一体感がある。サイズも小さいので商店街などを走りやすそうだ」と感想を述べている(クリックで拡大)
また同社が本社を置く川崎市は、エレクトライクを2013年に「川崎ものづくりブランド製品・技術」に認定するなど開発を支援してきた。会見で、松波氏から型式認定取得の報告を受けた同市市長の福田紀彦氏は、「EVベンチャーとして初めて型式認定を取得したことは偉業であり、そのと努力は称賛に値する。川崎発のエレクトライクは、川崎市が環境先進都市であることを示すものであり、走るショーウィンドウとして国内のみならず海外にも展開してほしい」とコメントした。
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