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シーリングファンの回転挙動を解析、試作回数を大幅削減CAEイベントリポート(1/2 ページ)

パナソニック エコシステムズでは、強度、振動・騒音解析にMSC Nastran SOL400およびRotor Dynamicsを用い、シーリングファンなど回転体の動作を解析。試作前にさまざまな検討ができるようになり、手戻りの抑制や開発コストの削減に成功した。

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 2015年6月4日に東京コンファレンスセンター・品川で開催された「2015 Users Conference」(エムエスシーソフトウェア主催)で、パナソニックエコシステムズ IAQビジネスユニット モノづくり企画部の小方弘成氏が、「家電製品(回転機器)におけるMSC Nastran SOL400及びRotor Dynamics活用による振動・強度検討の高精度化」のタイトルで講演した。


パナソニックエコシステムズ IAQビジネスユニット モノづくり企画部の小方弘成氏

 空気清浄機や扇風機、また天井埋込型などの換気設備、携帯基地局冷却設備など、広くファンモーターを用いた製品を中心に展開している。

 同社では1985年からCAEの活用を開始している。近年はCAEの専任体制を敷き、社内のニーズに応じて解析範囲を拡大してきたという。回転機械の強度・振動の解析からはじまり、成形・衝撃などにも取り組んでいる。設計者からは特にコストや納期の削減が重要だという意見があるため、フロントローディングにより金型に関するロスを省いていく方向でCAEを活用しているとのことだ。

 強度・振動分野では近年アセンブリの必要な問題が非常に多いという。従来は汎用構造解析ソルバ「MSC Nastran」の拡張機能であるベーシックな「SOL101」(線形静解析)や「SOL103」(実固有値解析)、場合によっては「SOL106」(非線形静解析)を使ってきた。だがそれでは不足してきたため、2014年度に「SOL400」(陰解法非線形解析)、そして回転系の動的挙動を取り扱う「Rotor Dynamics」を導入し、この1年で使用環境を整えてきたということだ。

ブレードに掛かる力を解析

 小方氏はCAEの活用事例としてシーリングファン(天井扇)を紹介した。


シーリングファン(天井扇)

 シーリングファンは天井に取り付ける大径の扇風機で、大きな羽根で室内の空気を循環させる。日本で見かけることは多くないが、赤道地域を中心に東南アジアや中近東などをはじめ世界的に需要がある。

 ブレードの材質には樹脂と板金の2種類があるが、普及品としてとくに製造されているのは板金製になる。「最近は3Dプリンタなど造形機が発達してきたので樹脂の試作は比較的簡単だが、板金はプレス金型が必要なため試作コストが高い。そこでCAEを活用している」(小方氏)。

 SOL400の事例として紹介したのが、設置・運転時を想定したブレードの強度評価である。掛かる力はまず重力、そして回転時の遠心力である。回転時に翼面に作用する圧力分布およびエアコン気流などの外風圧については、CFDツール「SCRYU/Tetra」によって算出して、その荷重を転送した。

 モデル化については、従来は別のプリポストとSOL106を使用し、例えばワッシャーとボルトなどの接触・固定の条件定義を、経験を元に手動で行いモデル化していた。現在はSOL400とプリポスト「Patran」を使用することにより、それぞれ独立したメッシュを組み立て、自動で接触判定を行い、部品ごとに条件定義できるようになり、「便利になった」(小方氏)という。

 図1はさまざまな荷重が掛かった場合の変形の違いを示した解析図である。


図1:通常運転時のブレードに掛かる荷重による変形の違い

 ブレードには上反角が付いているため、重力でかなり下方向に曲がる。そのため線形での解析は不可能だった。しかしSOL400を導入したことで、回転させることによりブレードが延びてさらに曲がったり、翼面圧力によって上に戻ったりなど、非常に複雑な動きを再現できるようになったという。

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