RPGで学ぶトヨタ生産方式の本質:RPGで理解する生産管理(5)(3/6 ページ)
製造業にとって重要な要素である「生産管理」ですが、なかなか初心者には理解するのが難しい……。そんな生産管理初心者に向け、RPG(ロールプレイングゲーム)になぞらえて分かりやすく生産管理を解説する本連載。最終回となる今回は、トヨタ生産方式の本質についてご紹介します。
“横の関係”を示すバリューチェーン
先ほど見たように、組織階層というのは上下の関係でした。では横の関係はどうかというと、それはバリューチェーンという言葉で表されます。例えば、製造業であれば、以下のような流れになると思います。
バリューチェーンは、「価値をつくる活動」と「マージン」の2つから構成されるといわれています。「価値をつくる活動」は、主活動と支援活動に分かれており、主活動は、「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」などを指します。支援活動は「調達活動」「技術開発」「人事・労務管理」「全般管理」などで、全ての支援活動が個々の主活動に関連してバリューチェーン全体を支援しています。
「マージン」とは、「つくられた価値」を顧客に販売した時にもらえる価格との差、つまり利益と考えてもらえばよいかと思います。ということは、それぞれの段階で「ムダ、ムラ、ムリ」を減らすことができれば、結果として会社の利益の向上につながるということになりますね。
RPGに例えると、僧侶が戦士のHPが満タンなのに回復魔法をかけるという「ムダ」を発生させ、もしその後に戦士が敵から攻撃を受けたらパーティ全体の行動効率が悪くなってしまいますよね。最も効率がいいのは、戦士が攻撃を受けた直後に回復魔法をかけることのはずです。このように各自が行動の順番を図った上で、効率良く連動しないと組織全体のメリットにはつながらないのです。しかし、それぞれの立場の人が適切にコミュニケーションを取って対処していないと、取るべき行動の正しいタイミングが分からなくなると思いませんか。
こうしたコミュニケーションや、人の存在がいかに大切かという観点を踏まえて、次はトヨタ生産方式について考えたいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.