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民間航空機産業へ参入するために考えるべきこと「INTERMOLD 2015」特別セミナーリポート(1/2 ページ)

INTERMOLD 2015で、川崎重工業 社友 榊氏が日本の民間航空機産業に関する市場分析や、参入するためのアドバイスについて語った。中小企業にとってはモジュールを納入できるような体制を作ること、川下企業にとっては組み立て自動化によるコストダウンなどがポイントになるという。

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 2015年4月16日にINTERMOLD 2015/金型展、金属プレス加工技術展において、川崎重工業 航空宇宙カンパニー 岐阜工場 社友で次世代型航空機部品供給ネットワーク(OWO)顧問の榊達朗氏が、「日本の民間航空機産業のこれから−課題と対応−」と題して講演した。

 現在、旅客機の需要は急成長を続けている。2013年時点で空を飛んでいる民間ジェット旅客機は1万9208機だ。この数が2033年には3万6769機になると予測されている(日本航空機開発協会(JADC)による)。そのうち4552機は現在飛んでいる機体が残存し、残りの3万2217機が新規需要となる。その新規需要のうち確定受注数の割合は、リージョナルジェット機(100席前後)で53%、小型機(101〜229席)では62%、中・大型機(230〜380席)および超大型機(400席以上)では40%だという。つまり今後およそ10年の需要については、既に注文済みという状況だ。


ジェット旅客機は20年後に運航機数が1.9倍になると予測されている

 通常、自動車などの製品は販売が見込まれる数で作るが、航空機においては予測ではなく確定した注文に応じて作る。そのため世界情勢に大きな変化がなければ、安定した産業になるという。変化を起こし得る要因として榊氏は、低燃費の航空機の人気や原油価格の変動、最近の航空機事故における事象の複雑化とそれに伴う原因解明や対応の長期化、機体メーカーによるグローバルでのサプライチェーンの見直し、コスト削減への動きなどを挙げた。


川崎重工業 航空宇宙カンパニー 岐阜工場 社友で次世代型航空機部品供給ネットワーク(OWO)顧問の榊達朗氏

国際共同開発とMRJが大きな柱に

 日本国内では戦後にYS-11(日本航空機製造)が製造された後は、大型機を作るまでの資金力や技術力が足りなかったことから、国際共同開発、生産へとかじを切った。1994年製造開始のボーイング767、続く787、2017年に製造が始まる777Xにおいて、日本メーカーがそれぞれ21%、35%、21%を分担している。なお新機種の就航する間隔は、エアバスもボーイングも大体10〜15年だという。最近では2010年前後に新機種が投入されたため、今後は「少なくとも2020年までは新機種の開発はないだろう」と榊氏は言う。


民間機の就航時期。ボーイングもエアバスも15年程度の周期で新機種を投入しているという。

 MRJについては、ライバルは中国COMACのARJ-21、カナダBombardierのCRJ-900、ブラジルEmbraerのE175および新規投入するE175-E2となる。そのうち中国は国内使用がメイン、カナダも新型ではないため強敵にはならないという。ライバルになるのはE175-E2で、エンジンもMRJと同じプラット&ホイットニーのギアードターボファンエンジンを採用している。


MRJの競合となる機種

 今後10〜15年は、日本の民間航空機分野は、引き続きボーイング機種の分担生産が主体になるという。一方MRJは受注目標を1500機以上としている。1機40〜50億円のため、ピークで年間100機作れば4000〜5000億円となり、現在ボーイングと進めるプロジェクトとあまり変わらない売り上げになる。これは民間航空機産業において大きな柱の1つになるだろうという。


国内航空機生産額の推移。民間機の生産額については伸びと安定を繰り返している。

 一方、国内企業は各航空機エンジンメーカーにも部品を供給している。こちらの需要は機体メーカーのシェアの変動に関係なく、機体の増加に応じて拡大する。なおエンジンは消耗品が多いため、航空機1機に対して1.5機分の売り上げが見込まれるという。

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