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第34回 フレキの損失前田真一の最新実装技術あれこれ塾(4/4 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第34回はフレキを使って長い距離を伝送する場合の損失について取り上げる。

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4.ケーブルの損失対策

 基板間の接続にはフレキケーブル以外にもワイヤケーブルも使われます。

 ケーブルには同軸ケーブルのような太い導体を使用した単線ケーブルと多くの細いケーブルをより合わせて太くした縒り線ケーブルがあります(図18)。



図18:縒り線ケーブル

 一般的なケーブルでは銅の酸化防止とはんだ付け性向上のため、銅線の外側にすずメッキを施しています(図19)。


図19:単線すずめっき線

 金めっきの下処理に使われるニッケルと異なり、すずは非磁性体で表皮深さは銅よりも大きくなっています。導電率は銅よりも低めですが、すずによる銅の表面処理の影響はニッケルめっきに比べ大幅に小さく、ほぼ無視できる程度です。

 ケーブルの誘電損失はケーブルの外周を囲む被覆材の誘電率や誘電正接で決まります。抵抗損失については、表皮深さはすずめっきの影響は大きくなく、導体の太さが影響します。太い導体を使用したケーブルでは、表皮効果の影響が大きくなりますが、細いケーブルでは影響が小さくなります(図20)。


図20:太い線と細い線の違い

 細いケーブルを縒り合わせた縒り線ケーブルでは、おのおののケーブルが持つ直流抵抗成分が並列接続されるので、表皮効果による損失は小さくなります(図21)。


図21:縒り線の効果

筆者紹介

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前田 真一(マエダ シンイチ)

KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。

近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)


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