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第34回 フレキの損失前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/4 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第34回はフレキを使って長い距離を伝送する場合の損失について取り上げる。

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2.フレキケーブル(FFC)

 通常、基板から基板へ信号を伝達する場合には、コネクタを介してケーブルを使います。

 ケーブルには同軸ケーブルやツイストケーブル、縒(よ)り線ケーブル、フレキケーブル(フレキシブル フラットケーブル=FFC)など多くの種類があります(図8)。



図8:各種ケーブル

 それに合わせてコネクタも各社が多くの種類を製品化しています。フレキケーブルは自由に曲げられる特性を利用して、プリンタやコピー機など、大きな距離を移動するための(図9)長い距離を伝送するものから、小さな基板を折り曲げて配置するために短い距離を伝送する使い方があります(図10)。


図9:プリンタのFFC

図10:基板間FFC

 ここでは、フレキを使って長い距離を伝送する場合の損失について調べてみましょう。

 フレキケーブルは通常、ポリイミド(PI)やポリエステル(PET)などの薄いベース材に銅箔を貼りその上から酸化防止と絶縁のためのベース材と同じ材料のカバー材を接着させる構造となっています(図11)。


図11:FFCの構造

 フレキは折り曲げられることが大きな長所となっています。特にプリンタなどの動くものを接続する場合には、折り曲げ回数が膨大なものとなり、折り曲げ回数の増加による信頼性や性能の劣化は許されません。このため、ベース材や銅箔を薄く柔らかくし、折り曲げに強い構造にする必要があります。従って、このような折り曲げ回数の多いフレキケーブルでは銅箔を2層以上にする多層構造は好まれません。

 多くのフレキケーブルでは、単層で、高速信号の両側をGNDとするコプレーナ構造が使われます(図12)。


図12:FFCのコプレーナ構造

 もちろんフレキ基板は全て可動部に使われるわけではなく折り曲げて使用するものの、折り曲げ回数は少なく、2層にしても良い場合もあります。このような場合は2層構造にし、配線のインピーダンスコントロールを行う場合もあります。しかし、ベースに使用するポリイミドはFR-4のようにガラス繊維を使わないので、それほど厚くすることができません。信号層とGND層の距離が短いと一般に使われる50Ωの特性インピーダンスを得るためには配線が非常に細くなってしまい、製造不可能になってしまいます。このため、GND層をメッシュ構造にし、配線を製造可能な程度に太くすることが行われます(図13)。


図13:メッシュ構造

 しかし、メッシュ構造はメッシュの線の太さとピッチで配線のインピーダンスが変化したり、メッシュのある所とない所で、その上にある配線の特性が変化したりと、コントロールが難しいという問題があります(図14)。


図14:メッシュのコントロール

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