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どこでもアクセスを実現する、3D CAD環境のデスクトップ仮想化3D CAD仮想化

製造業は現在、グローバルに分散する設計拠点や生産拠点をつなぎ、設計データの情報共有を図ることが急務となっている。IT管理者にとって「各地の設計者に快適なパフォーマンスを提供しつつセキュリティを確保する」ことが必要になる中、解決する手法として注目を集めているのが、3D CADのデスクトップ仮想化(VDI)だ。インフラを支える4社が、ポイントを紹介する。

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なぜ今CAD環境のデスクトップ仮想化が求められているのか

 最近続々と3D CAD環境のデスクトップ仮想化事例が発表されている。なぜ今製造業の多くの企業が求めているのだろうか。

 その背景としては、「グローバル対応」、「デジタル化」といった製造業における変革とそのニーズに対して、ようやく技術が追い付いてきたことが大きな理由だろう。

 製造業においてはグローバルでの設計・生産の最適化や製品のローカライズの動きが加速しており、グローバルに散らばる技術者間で短期間に技術情報や設計データを共有可能な環境の構築は急務となっている。

 しかし、3D CADの設計データは、モデリングの高度化や複雑化によって大規模化が進んでおり、このデータをグローバルで分散する設計拠点のワークステーションに個別に配布して共有していたのでは、送受信に費やす時間だけでも大きなロスが生じてしまう。加えて、デバイスの盗難など情報漏えいのリスクも高まる一方だ。

 これらの課題の解決策として今最も注目されているのが、3D CAD環境のデスクトップ仮想化(VDI)だ。

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伊藤忠テクノソリューションズ エンタープライズ事業企画室 ビジネスソリューション推進部 プラットフォーム企画推進課 仲村公孝氏

 設計現場において3D CAD環境のVDI化をサポートしてきた伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)の仲村公孝氏は

 「データセンター側に仮想化したワークステーションや設計データを閉じ込め、さまざまなデバイスからリモートアクセスで利用することにより、課題であった『設計データの転送時間削減』や『ユーザー端末にデータを残さないセキュアなデスクトップ環境』を実現することができます。

 またその他にも、『災害対策や事業継続』『設計者のニーズに合わせた柔軟なリソース配備』『ワークステーション設置スペースの削減』といった多くのメリットをシンプルな仕組みで実現するのがVDIなのです」と語る。

 ただ、従来はVDIにも問題がなかったわけではない。一般的な業務アプリケーションと違って、3D CADの高度なグラフィックスを高速処理するためにはGPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)が必須となる。しかし、今までの技術では単一のGPUリソースを1ユーザーで占有した利用しかできず、一部の先進的なユーザーに利用が限られた状態だった。

ブレイクスルーとなったGPU仮想化

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エヌビディア ビジネスディベロップメントマネージャ エンタープライズ ソリューション プロダクト事業部 澤井 理紀 氏

 この状況を打破したのがエヌビディアによる「NVIDIA GRID vGPU」と呼ばれるGPU仮想化(vGPU)テクノロジーである。同技術は、単一の物理GPUリソースを、複数の論理リソースに見せかける技術である。GPU仮想化により、3D CADを稼働させるために必要なグラフィックス能力を、各仮想デスクトップに自由に割り振って利用できるようになったのだ。そのため、人数やパフォーマンスに合わせて、自由に3D CADのVDI利用が可能となった。エヌビディアの澤井理紀氏は、「NVIDIA GRID vGPUにより、最大8ユーザーが同時に利用可能です。3D CADのような高度なアプリケーションが互換性高く、高い性能で動作します。それに加えて、高い集約率を実現できることが特徴です」と述べる。

 これにより、特定のワークステーションやその設置場所に縛られていた設計エンジニアは解放され、会議室や出張先の拠点、さらにはサプライヤーや顧客先などの社外でも高度なグラフィックスパワーを活用し、レビューやプレゼンテーションを行えるようになる。あるいは、1台のクライアント上でさまざまなアプリケーションや複数のデスクトップ環境を柔軟に切り替えながら、効率よく作業を行うことが可能となる。つまり、設計エンジニアのワークスタイル変革が現実のものとなるわけだ。

GPU仮想化に新たに対応したVMware

 さらに、このテクノロジーの可能性を大きく広げたのが、ヴイエムウェアの「VMware Horizon(with view)(以下VMware Horizon)」によるNVIDIA GRID vGPUのサポートである。VMware Horizonは、既に多くの企業に普及しているサーバ仮想化基盤「VMware vSphere」と同じハイパーバイザを利用したVDI環境であり、その信頼性は折り紙つきだ。

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ヴイエムウェア ソリューション営業本部 End User Computing シニア プロダクトスペシャリスト 駒井健一郎氏

 実際、VMware HorizonはこれまでOA系を中心に、国内での実績においても1万台以上の大規模導入が何社もあり、3D CADをはじめとするエンジニアリング系への対応は必然の流れであった。ヴイエムウェアの駒井氏は「VMware Horizonの一つの強みは3D CADではグラフィックスも含むあらゆるコンピュータリソースに対しオーバーヘッドを抑えた形でアクセス可能で、CPU、メモリはもちろんの事、NVIDIA GRID vGPUのパワーを最大限に引き出すことができます」と語る。

 また、「マイクロセグメンテーション」という考え方に基づき、仮想デスクトップ単位にファイアウォールを設置してマルウェア感染の拡大を防止するなど、最新のセキュリティ技術を容易に導入できることもVMware Horizonの魅力となっている。

 「たとえばオフィス用途のPC端末上で3D VDI環境をストレスなく利用できるようになることで、利便性の高いシステム構築が可能となります。また、サーバ仮想化からデスクトップ仮想化まで、全てのプラットフォームを同じVMwareの仮想化アーキテクチャのもとで一元管理できるようになることは、IT部門の負荷軽減にも大きく貢献します」と駒井氏は述べている。

VDI環境をインフラから支えるシスコ

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シスコシステムズ データセンター・バーチャライゼーション事業 データセンターアーキテクチャ コンサルティングシステムエンジニア 高尾恵司氏

 そして、この3Dグラフィックス対応のVDI環境をハードウェア面から支えるのが、シスコシステムズ(以下、シスコ)のCisco Unified Computing System (Cisco UCS)である。同サーバはシスコが提供する各種リファレンス型統合インフラストラクチャの構成要素としても知られ、Cisco Validated Design(CVD)と呼ばれる手順に沿って導入を進めることで、インフラ構築期間を最大80%短縮し、設計現場のニーズに対応した多様なアプリケーションやデータを柔軟にサービス展開することができる。

 シスコの高尾恵司氏は「VDIのパフォーマンスにおいてネットワークは重要な要素となります。シスコがもともとの強みとしているネットワーク技術、シンプルで管理性・柔軟性に優れたCisco UCS、CTCが有するエンジニアリング分野の高度なノウハウとSI力が融合することで、投資対効果の優れた最適なVDI環境を短期間で立ち上げることができます」と語る。

 エヌビディア、ヴイエムウェア、シスコの各社が提供する要素技術、さらにそれを包括するCTCのSIという4社の緊密なパートナーシップにより、3D CADのVDI環境での利用は「既に選択可能な現実解となっている」と駒井氏は強調する。

 また、導入企業からも効果を実感する声が出てきている。「お客様からは『リモート拠点での急な設計環境立ち上げに対応できた』『OA環境とCAD環境が同時に使用できるようになり資料の作成など作業効率が上がった』『オンサイトでのサポートが削減できた』といった声を頂いております。また、今後は端末の稼働率に合わせたVDI環境の増設により遊休端末の削減などの効果も出てくると思います。」と仲村氏は語る。

 実績についてもヴイエムウェアの駒井氏は「自動車やプラント関連の国内メーカーなど、1000台規模の導入実績があります」と述べている。

共同検証で「現実解」であることを証明

 製造業におけるCAD環境のVDI化が急速に進んでいるものの、導入を検討する各社が最も気になるのは「自社の設計環境に導入した場合にどうなるか」ということではないだろうか。

 3D CADによる設計は、利用するCADソフトなども異なれば、扱うデータの構成部品点数、点在する拠点間のネットワーク環境にも大きく違いがあり、要件を定めるのが難しい。

 また、VDI環境は物理ワークステーションと異なり、ハードウェアからソフトウェアまで全てのリソースをデータセンター側で集中管理することになるため、既存の運用・管理についても大きく変更する必要がでてくる。

 そのため、似たような業態や規模の他社が成功しているからといって、自社にそのまま導入しても必ずしもVDI化のメリットを享受できない可能性がある。そこで重要になってくるのが、事前のコスト試算と事前検証(PoC)である。

 CTCでは導入を検討する企業における「導入前のコストやパフォーマンスの不安」、「導入後の運用・管理面の不安」に対して豊富な導入経験を元にそれぞれコスト試算&事前の検証支援を行う「PoCサービス」、運用設計〜実運用の支援を行う「VDI運用支援サービス」など各種サービスを取り揃えており、安心してCADのVDI化を行えるサービスを準備している。「設計者が求めているのは、何よりもパフォーマンス。それをしっかりと発揮できるかどうかという点で、3D CADでのVDI環境構築において、事前検証は非常に重要です」と仲村氏は語る。

 また、実際のユースケースを想定した環境でどの程度のパフォーマンスが得られるのかCTC、エヌビディア、ヴイエムウェア、シスコの4社は、β版の段階からVMware Horizonの共同での評価検証を実施している。

 「このβ版の検証では3D CADの導入に携わるCTCのCADエンジニアが評価に参加し、物理WSとVDIの比較、国内・海外の拠点からのリモートアクセスを想定した遅延環境でのパフォーマンス評価を行っている。「今回の検証ではWAN最適化装置などは使用しなかったが、海外を想定した環境など特に遅延の大きな環境を除いて、十分業務利用可能との評価を得ることが出来ました」と仲村氏は強調する。

製造業のビジネスに変革を起こす

 NVIDIA GRID vGPUとVMware Horizonの連携によって高度なグラフィックスパワーをVDI環境で生かせるようになったことで、その利用範囲は3D CADのみならずCAE、BIM、CAD Viewer、マーケティングや金融分野におけるデータ分析と可視化など、さらに多方面に広がっていくことが予想される。

 「従来のOA系VDI環境と物理ワークステーションの間に存在していたギャップを埋めるソリューションとして、3Dグラフィックス対応のVDI環境は設計業務にとどまらず、製造業のビジネスを大きく変えていくことになるでしょう」と駒井氏。また「既に多くの顧客から、さらなる機能追加やパフォーマンス強化の要望が寄せられています。そうした現場の声を製品にフィードバックしつつ、今後もGPU仮想化テクノロジーからイノベーションを起こしていきます」と澤井氏も語る。

 一方で設計環境におけるVDIの導入には、CADシステム、ITインフラ両面での知識やノウハウが必要になるが「VDI導入の構想策定から設計、構築、運用、保守までワンストップでSIサービスを提供しているCTCは非常に心強い存在となっています」と高尾氏は述べている。

 CTCを核とし、エヌビディア、ヴイエムウェア、シスコの4社は、強固なスクラムによって設計環境の革新に取り組んでいる。各領域のプロフェッショナルが集まった4社の協力体制は、製造業の新たな設計環境の実現において、信頼できるパートナーとなり得るのではないだろうか。

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左からエヌビディア澤井氏、シスコ高尾氏、CTC仲村氏、ヴイエムウェア駒井氏。CTCを核にエヌビディア、ヴイエムウェア、シスコの4社が強固なスクラムを組むことで設計現場を革新に導く

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提供:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年5月31日

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