「『ゆ』のみ」本開発スタート!! 真面目に「開発」し、とことん「遊ぶ」:「Product for 1000」挑戦記(4)(1/3 ページ)
「Product for 1000×3Dモデラボ×Mozilla Japan」特別企画。モノづくりド素人が「Product for 1000」というフレームワークを使い、デジタルモノづくりに挑戦するプロジェクトで「『ゆ』のみ」開発がついにスタートした。
2014年秋にキックオフした、「Product for 1000×3Dモデラボ×Mozilla Japan」挑戦企画は、充電器ケースやウェアラブルデバイスなど、電子工作やWeb技術、そして3Dプリンティングが入り乱れてのプロトタイプ祭りとなるも、ついに本開発フェーズに移ることとなりました!
見事、本企画の開発プロダクトに選ばれたのは、うでみさんの「『ゆ』のみ」です。平仮名の「ゆ」の文字をかたどった「湯のみ」というド直球な遊び心のある作品。プロトタイプの段階から、「うゎ〜、『ゆ』のみからジワジワとお茶が漏れてくる……! ジワジワくる……!」などと、どこまで本気なのか分からない検証をしていた開発メンバーも、いよいよ本気を出すときがきました。
真面目に開発する
どんなジョークグッズでも、その背後には、真面目に設計し、真面目に試作している技術者がいます。ジョークグッズの代名詞「ブーブークッション」ですら、恐らくは「どんな音が最も面白いか」「もう少し音を大きくした方がよいのでは」などといった課題をクリアしながら開発が進められたことでしょう。そして、先行商品(元祖)に対し、「より薄型で」「もっとカラーバリエーションを」といった価値を付け加えながら、後発商品が続き、ブーブークッション市場が築かれていったのだと思います。
では、「『ゆ』のみ」の場合はどうでしょうか。現在、世の中を見渡してみても“真面目な湯のみ”がほとんどです。デザイン系湯のみの商品点数は増加傾向にあるものの、やはり飲みやすく、おしゃれなデザインが主流です。まずは、「『ゆ』のみ」の機能と一般的な商品を比較して、真面目に開発する部分と、とことん遊ぶ部分を整理してみました(表1)。
断面 | 厚さ | 大きさ(直径・高さ) | 使用シーン | |
---|---|---|---|---|
「『ゆ』のみ」 | ・「ゆ」の文字をかたどっている ・面白い |
・「ゆ」の文字の見えやすさを重視 | ・特にこだわらない → 一般製品に順ずる |
・会議室、職場のデスクで人を和ませる ・暇つぶし、話のネタになる |
一般的な湯のみ | ・円形 ・熱いお茶を飲むのに最適 |
・お茶の熱さがほどよく伝わる | ・大人であれば片手で握ることもできる ・冷めにくいよう大口径にしない |
・食卓で食器として使う ・応接間で人をもてなす |
表1 「『ゆ』のみ」の機能整理 |
機能を確かめたところで、アイデアプロトタイプに改良を加える方針を決定します。現状の「『ゆ』のみ」は、見た目にまず「ゆ」の文字が認識できることを第一に、その他の形状はデザイナーであるうでみさんが何となく他の湯のみを観察して設計したものです。
今度は、何となくではなく「通常の湯のみよりも大きい方がいいか、小さい方がいいか」といったデザインの仕様をきちんと再定義します。ここで、なぜこの大きさでなければならないのか? その理由はあるのか? ないか? といったことを確認することが大切です。うでみさん個人が使うものであれば、自分の手のひらにちょうどよい大きさにしても構いません。しかし、今回、うでみさんは「商品化して販売したい!!」という野望があるため、購入してくれそうなターゲットにとってのちょうどよい大きさ、その他の仕様を決定する必要があります。
今回の「『ゆ』のみ」のターゲットとなるユーザーは、主にアイティメディアのようなWeb系の会社で働いている、フォント好きで、ユーモアのあるOLさんということになりました。OLさんが気に入ってくれれば、必然的に職場のおじさんもサブターゲットになるのでは? という意見もあり、ちょうどよいテストマーケティングの場所としてアイティメディアを選定しました(ちなみにアイティメディアの平均年齢は36.9歳で、男女比は7:3です)。
次は、プロトタイプを用意してユーザーの意見を聞くことになります。プロトタイプのデザイン修正は、ターゲットユーザーに適切な仕様を見極めるために、以下の項目を異なる条件で設計して試作することにします。
- 形状:「ゆ」の文字が湯のみ内にある/全体が「ゆ」の形をしている
- 底面:立ち上がり(足)がある/フラット
- 大きさ:高さ違いで検討する
- 厚さ:通常の湯のみに順ずるが、最終製品の素材でもう一度検討する
厚さ以外は、試作要件を定義できました。問題は厚さです。これまでプラスチック樹脂素材のプロトタイプでの形状検討ばかりで、食器としての実際のデザインについては未着手でした。今回は最終的に製品化する際、陶器で3Dプリントすることを想定し、現段階では“仮”で一般的な湯のみの厚みを参考にすることとしました。
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