効果的な原価低減推進の考え方【後編】:実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(6)(2/5 ページ)
革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、3回にわたり「効果的な原価低減推進の考え方」についてお伝えしています。後編となる今回は「動作改善の3原則」について解説します。
力仕事(筋肉疲労)を追放しよう
職場の中を見渡すと、あまり理由は見当たらないものの力が必要な仕事が散見されます。その内容は、管理的・技術的な不完全さが原因で、そのような事象が発生しているのです。
初めは良くても、だんだんと機能低下しているもの
重い机の引き出し、ガタついている扉、油ゴミの詰まった台車の車輪、あちこち欠けたコンクリートの床やその段差、錆び付いたボルト、どうにも動かない蓋(ふた)というように、いくらでも存在しています。
正しい工具や機械の条件を満たしていないもの
切れないノコで木材ならぬ、手加減しながら、だましだまし使っている工具や機械もあり、日曜大工のような姿が存在しています。
工具などの工作法についての研究不足によるもの
片手で物を押さえ、もう一方の手で工具を動かす作業や、ヤスリ、ハンマー、エアードリルなどの正しい作業方法を会得しないままに、腕力に頼っている仕事も存在しています。
力のいる仕事の元凶は仕掛かりである
1個は軽くても何個か集まれば、それだけ重くなります。その重いモノを、あちらこちらに運ぶという仕事が存在します。また、床にモノを置くのは、体重の上げ下げを伴います。こうした作業は理由なく力を要求される作業だといえるでしょう。
ちなみに、小ロット生産の究極でもある1個流しの成立条件は、“モノは仕事をする所(作業点)に運ぶ”です。仕掛かり品があれば、必ず運搬作業が発生します。従って、ロット生産では“仕掛かり品ゼロ=運搬ゼロ”を決して達成することはできません。
不自然な姿勢(姿勢からくる疲労)を追放しよう
姿勢は健康と大きな関係があります。姿勢と疲労の因果関係は、大きく2つの理由に分けて考えられます。1つは、筋肉が圧縮されるために血液の循環が悪くなるということです。もう1つは、姿勢をある状態に保つために、靱帯が突っぱった状態に働き、エネルギーはそれほど使いませんが、関係する筋肉に負担をかけるという場合です。不自然な姿勢の見分け方は以下の2つとなります。
- 同じ姿勢を長い間続けている
- 作業中の好ましくない作業姿勢のみに着目する
改善という観点からみると、不自然な姿勢の発生原因は、次の2つであると考えられます。
見慣れていて不思議に思わない
子どもの頃から床の上の遊び、屋外での砂遊び、農作業など、不自然な姿勢を見慣れていて、別に不思議とは思わず、姿勢とはこんなものだと思い込んできたという場合。
急ぐ気持ちが、準備不足を生む
分かってはいるけれど改善作業の時間が惜しいと考えてしまう場合です。例えば、作業台が低くて手が届かない場合、台を高くして人の高さに近づけるということが重要です。しかし、その準備をしている時間がもったいないような気がして上体を傾けて品物に近づいて作業をしようとするという例などがあります。
作業姿勢は、正しく、速く、楽に作業するために必要です。その場合、望ましい姿勢、望ましくない姿勢を明確に示すことと、「望ましい姿勢を作る」もしくは「望ましくない姿勢を排除する」ために設備、工具類などの標準を決めておくことが重要になります。
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