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「魂動デザイン」は販売店にも価値を生み出しているのかクルマから見るデザインの真価(2)(3/6 ページ)

車両デザインを通して、「デザイン」の意味や価値を考えていく本連載。第2回は、第1回に引き続きマツダの「魂動(こどう)デザイン」を取り上げる。高い評価を得ている魂動デザインだが、販売店にとってどのような価値があるのだろうか。小型SUV「CX-3」のインプレッションと併せて紹介する。

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「ソウルレッド」の販売比率が4割に

 クルマ側の魂動デザインが群でそろうことに合せるように展開が始まっている、新世代店舗にも少し触れておきたい。マツダでは新世代店舗について、国内市場におけるマツダブランドの発信・体験拠点としての活用の場と位置付けている。店舗を運営するのはマツダとは別法人の販売会社になるが、新世代店舗づくりではメーカーであるマツダのデザイン本部が監修している。中でも目黒碑文谷店は特別とのことで、フラッグシップ店舗のような位置付けになっている。

 どれくらい特別かというと、この目黒碑文谷店においては、マツダのデザイン本部からの監修は、並べる車種、カラー、並べる位置、照明の当て方など事細かなところまで及んでいるそうで、片桐氏は「指示された通りにクルマを置くくらいなんですよ」と笑っていた。

 そこまでクルマが魅力的に見える空間づくりにこだわった効果か、他店にないこの店舗の特徴として「ソウルレッドプレミアムメタリック(以下、ソウルレッド)」のボディカラーがやたらと売れるという傾向があるそうだ。メーカー側が把握してる全体的なソウルレッドの販売比率は2割前後だそうだが、この目黒碑文谷店では4割程度がソウルレッドを占めるという。

 新世代店舗になり、既存顧客以外の新しい来店者も増えている。その中には、「最近のマツダ車のデザインが気になる」という輸入車のオーナーがおり、週末の同店の駐車場には輸入車ばかりが並ぶこともある。

 ご存じの方も多いかと思うが、この目黒碑文谷店が位置する目黒通りは、輸入車やスーパーカーなどの高級車を扱う店舗のショールームが多いクルマ屋通りでもある。例えがスマートではないかもしれないが、マツダが新世代店舗の中でも「特別」と表現するショールームを目黒通りに設置したことは、小奇麗なショールームが通りのあちらこちらに点在する中で、自分たちがどのように評価されるか腕試しをしに来たようにもみえる。

 黒を基調とした建物は2階がショールームとなっており、全ての展示車のボディカラーを魂動デザインのテーマカラーのような位置付けになっているソウルレッドでそろえてある。店舗の外からは、黒い建物の中にソウルレッドのクルマが浮かび上がるように見せている。実は、敷地や建物の形状、通りの両側に街路樹があることなどもあって、クルマからの視界では店舗に面した車線より、反対車線からの方がショールームがよく見える。そのせいか、店舗が新しくなって以来、反対車線からショールームを見つけてUターンして訪れる人もいるという。

反対車線から見た目黒碑文谷店
反対車線から見た目黒碑文谷店(クリックで拡大)

 また、雑誌に紹介されたこの店舗の記事を読んで、ここのショールームでクルマを見たいと地方からやってきた人もいたそうだ(建築とかデザインとかに関わる「プロ」筋の人ではなく、普通にクルマの購入検討をしている人だったとのこと)。単なる販売の場ではなく、ブランド体験の場として新世代店舗を組み立てていこうとしているマツダの狙い通り、まずは多くの人を吸い寄せることに成功しているようである。

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