「S660」はなぜ軽自動車になったのか:車両デザイン(2/3 ページ)
ホンダが2015年4月より発売すると発表した「S660」は、19年ぶりの復活となる同社の軽オープンスポーツカー。本格的な走行性能を追求しながらも、幅広いユーザーに向けた“手の届くスポーツカー”を目指したという。
走るだけでなく“曲がる楽しさ”も追求
S660の開発において、ホンダが走る楽しさとともに追求したというのが“曲がる楽しさ”だ。2015年2月に発売した新型「レジェンド」に採用されている電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」を、同社に軽自動車として初採用した。車両の挙動に合わせて適切な車輪のブレーキを制御することで、車両が旋回に入る際の応答性や旋回中のライントレースをサポートする。
サスペンションには、低速走行時の高い操作性と高速走行時の安定性を両立させるため、余裕のあるストロークの確保を目指し、4輪それぞれに独立懸架型のストラット式を採用。フロントにはマクファーソンストラット式、リヤはデュアルリンクストラット式となっている。ホンダの説明員は「ホンダ車にはトーションビーム式のサスペンションが搭載されていることが多いが、スポーツカーとして満足いく性能を実現するためにストラット式の採用に至った」としている。
静ねじれ剛性は「S2000」以上に
高い走行性能とスポーツカーとしての“痛快なハンドリング”を実現するため、ボディの設計も工夫された。ボディ骨格の多くを直線と滑らかな曲線で構成する「一線入魂ボディ」とすることで、高剛性化を図ったという。サスペンションの取り付け部分など局所的に高い剛性が求められる部分に関しては、補強部材を効果的に利用した。こうした結果、静ねじれ剛性は、ホンダのスポーツカー「S2000」を上回る性能を実現したという。
こうしたボディの高剛性化は、衝突安全性能を高めることにも寄与している。フロントピラーとセンターピラーに補強材を加えることで横転事の乗員保護性能を高めた他、前面、側面、後面それぞれの方向からの衝突に備えられるようにボディ設計に工夫を施した。また、従来と比較して長時間内圧を保持できる「内圧保持式エアバッグシステム」を助手席用エアバッグに採用するなど、機能面でも安全性に配慮している。
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