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LGが有機ELテレビを国内発売、大画面有機ELで生き残った理由ディスプレイ技術

LGエレクトロニクスが有機ELテレビ「LG OLED TV」シリーズの国内販売を開始する。ソニーやパナソニックなど家電各社が撤退状態となった大画面有機ELテレビでなぜLGだけが生き残ったのか。

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 LGエレクトロニクス・ジャパンは2015年3月25日、有機ELテレビ「LG OLED TV」シリーズを同年5月より販売開始すると発表した。65V型「65EG9000」と55V型「55EG9600」の2製品で、いずれも4K対応(パネル解像度は3840×2160ピクセル)の曲面型有機ELディスプレイを採用する。

 実売想定価格は65V型「65EG9600」が99万8800円、55V型「55EG9600」が62万8000円(いずれも税別)と低価格化の進む薄型テレビとしては高価だが、同社では引き締まった黒など画質面での優位性を強調し、「大画面有機ELテレビは他社にない、独自のもの」と自信を見せる。

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LGエレクトロニクス・ジャパンが発売する、65V型の有機ELテレビ「65EG9000」。左は同社代表取締役社長の慶甲秀(キョン・ガプス)氏、右はLG Electronics専務の李仁奎(イ・インギュ)氏

 有機ELディスプレイはディスプレイを構成する素子自体が発光するため、バックライトが必要な液晶に比べて画質面で有利とされる。また液晶に比べると薄型化や曲面化も容易なことから“次世代の薄型テレビ”と呼ばれ、2007年にはソニーが11型の「XEL-1」を製品化し、各社も市販化に向けての開発を続けた。

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中央が「65EG9000」、左右が「55EG9600」
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有機ELは視野角による色調変化がないため、没入感の高い曲面ディスプレイを採用

 しかし、4K液晶テレビの低価格化、何よりも大画面有機ELディスプレイ自体の生産性が向上せず、LG Electronicsを除くメーカーがテレビ用の大画面有機ELから撤退、もしくは開発規模を縮小した。この状況下ながらLG Electronicsは開発を継続し、テレビ用パネルとして求められる大画面化と低価格化の双方を兼ね備えた供給体制を整えた。その理由は採用したパネル構造だ。

 同社はディスプレイ上の赤緑青(R/G/B)の発光素子(サブピクセル)を光らせるのではなく、蒸着によって白色有機EL膜を形成し、色は白赤緑青(W/R/G/B)のカラーフィルターによって得る方式を採用した。この方式ならばサブピクセル用にパターンマスクを3つ(R/G/B)作る必要がないため歩留まりが高く、結果として、低コストで大画面の製品を製造できるとしている。

 この「白色有機EL+カラーフィルター」とも呼べる方式で同社は大画面有機ELパネルの量産化を進めており、2013年1月にはフルHD対応有機ELテレビ、2014年8月には4K対応有機ELテレビを販売開始、テレビ事業におけるライバルであるSamsung Electronicsも一部製品に同社の有機ELパネルを採用している。

 この度、日本で販売が開始される65V型「65EG9000」と55V型「55EG9600」については、ディスプレイの基本構造こそ既存製品を踏襲するが、素子の長寿命化を含めた細部のチューニングが進んでおり、特に素子寿命については「(製品寿命としては)液晶テレビに近いレベルまで達した」(同社)としている。

 薄型テレビイコール液晶テレビとなって久しい日本市場に、有機ELで存在感を示すことができるか。

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