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骨年齢を安全システムに? ジャイロ効果で転ばないバイクも! 学生安全コンペの日本代表が決定安全システム(2/3 ページ)

自動車技術会は、各国の学生チームが安全問題解決のための技術アイデアを競う「2015年 学生安全技術デザインコンペティション(SSTDC)」の日本大会を開催。スウェーデンで開催される本大会への出場権をかけて、東京都市大学、芝浦工業大学、日本大学の3チームがそれぞれのアイデアを競った。

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ジャイロ効果を利用した安全回避機能

 今回出場した3チームの中で唯一二輪車向けのアイデアを披露したのが芝浦工業大学チームだ。二輪車は自動車と比較して走行の自由度が高く、省エネルギーであるというメリットがある一方で、事故が多くその致死率も高いという問題がある。

 こうした問題の解決に向けて芝浦工業大学チームが提案したのが、ジャイロ効果を利用した二輪車の転倒防止装置だ。直径約30cmのフライホイールを回転させ、さらに振れ回すことでロール方向の力、つまりジャイロ効果を発生させる。これを応用した“ジャイロ装置”を二輪車に取り付けて、転倒を防止するというアイデアだ。

芝浦工業大学チームが提案するジャイロ装置の概要(左)。スリップ事故を回避できる性能要件を定義した(右)(クリックで拡大)

 芝浦工業大学チームが開発したジャイロ装置が対象としているのは、原動機付自転車と自転車だ。装置の開発には二輪車用シミュレーションソフト「BikeSim」と数値シミュレーションソフトの「MATLAB/SIMULINK」を利用している。まずBikeSimで走行速度や路面の状態など、さまざまな状況における転倒条件のシミュレーションを行った。そしてジャイロ装置の性能要件を、こうした複数の条件の中で最も危険なスリップ事故を回避できるものとして定義した。

芝浦工業大学チームが開発したジャイロ装置(左)とフライホイールの概要(右)(クリックで拡大)

 二輪車の事故の内訳では、ガードレールなどの設置物や停止車両との衝突事故が高い割合を占めている。こうした衝突事故をジャイロ装置によって削減するには、急ハンドルで車体が大きく傾いたり、急ブレーキによって低速度になっても二輪車のバランスが崩れたりしないようにジャイロ効果を発生させる必要がある。こうした背景を踏まえ、シミュレーションによる検証の結果から、車体が35度以上傾かないようにジャイロ効果を発生させるよう制御システムの設計を行った。

 具体的な衝突シミュレーションを行った結果、時速40kmで走行した場合、ジャイロ装置を搭載することで回避可能距離が4m伸び、さらに完全に停止した際には足を地面に付けずに直立が行えるという結果が得られたという。今後は製作したジャイロ装置を実際に二輪車に搭載して、より詳細な検証を進めていきたいとしている。


プレゼンテーションを行う芝浦工業大学チーム

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