軽負荷域で高効率の36V耐圧車載DC-DCコンバータ、クランキングにも対応:オートモーティブワールド2015
リコー電子デバイスは、「オートモーティブワールド2015」において、開発中の車載DC-DCコンバータIC「R1272」を展示した。
リコー電子デバイスは、「オートモーティブワールド2015」(2015年1月14〜16日、東京ビッグサイト)内の「第7回国際カーエレクトロニクス技術展」において、開発中の車載DC-DCコンバータIC「R1272」を展示した。
R1272は、同社の車載電源ICとしては初となる10A以上の大電流駆動に対応する製品だ。絶対最大定格は36V(入力電圧は4〜34V)で、出力電圧範囲は0.7〜5.3V。主な用途は、電動パワーステアリングや電動システムのインバータ、充放電制御システムなど大電流を扱うシステムのECU(電子制御ユニット)の他、カーナビゲーションシステムなどのカーアクセサリーの定電圧源となっている。
最大の特徴は、軽負荷域における変換効率が高いことだ。出力電流が1mAの場合、入力電圧が4〜4.5Vで変換効率が約90%、12〜16Vで80%以上となっている。また、冬場などに鉛バッテリーから得られる電圧が一時的に低下するクランキングに対応できるように、入力電圧が低下した際に出力電圧を近い値に下げて、電圧を出力できなくなる瞬断が起こりにくくする機構を搭載した。DC-DCコンバータICで問題になるノイズ対策をしやすくするため、内蔵PLLで外部クロック周波数と同期できるようにしている(250k〜1MHz)。
その他の仕様は以下の通り。消費電流は定格で15μA(非スイッチング時)、スタンバイ電流は3μA。パッケージはHSOP-18。動作温度範囲は−40〜125℃となっている。2015年4月にサンプル出荷を、量産販売を同年6月に始める。
R1272はパッケージがHSOP-18で扱いやすいものの、2個の外付けFETと組み合わせて用いる必要がある。リコー電子デバイスは、R1272とこれら2個のFETを1パッケージに集積した「R1273」も開発している。ただしパッケージはQFNになる。R1273は、2015年6月にサンプル出荷を、量産販売を同年8月に始める予定だ。
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