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インフルエンザも未病状態で検知! 実世界のカオス現象と数理モデル化医療イベントレポート(1/2 ページ)

複雑系数理モデルを解析することによって、病気や電力ネットワークの不安定化、交通渋滞などの予兆を捉えられるようになるという。

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 2014年12月5日に計測エンジニアリングシステム主催のマルチフィジクス解析ツール「COMSOL Multiphysics」ユーザー向けのイベントである「COMSOL CONFERENCE TOKYO 2014」が開催された。同カンファレンス内で、東京大学 生産技術研究所 教授の合原一幸氏が「複雑系数理モデル学の基礎理論と応用」のタイトルで登壇した。

 合原氏の専門は数理工学で、実世界の問題を数学を用いて研究し、実用につなげる学問である。合原氏は実世界の複雑系の現象に対して数理モデリングを行い、数値解析的に解くことで、その現象を理解したり、変化の予兆を捉えたりすることが可能だという。「21世紀に持ち越された脳やがん、免疫系、感染症の伝播や再生可能エネルギー電力網の安定化、経済活動などの重要課題は、複雑系の問題としても捉えられる」(合原氏)。


東京大学 生産技術研究所 教授の合原一幸氏

 基本的に実世界の複雑系は、多くの要素からなる非線形システムだという。各要素はネットワーク構造を作ってお互いに作用し合っており、その結果、全体の性質が立ち現れる。その性質はさらに中間構造や各要素にフィードバックされる。典型的な例が脳だ。脳は1000億の神経細胞からできており、これらの活動全体の結果として思考がある。さらにその思考の動きによって各神経細胞の活動は変化する。このように階層的なフィードバックによって思考は発展していくという。「そういったものをどうやって数理モデル化して、どうやって解析するかがこの問題の重要な課題だ」(合原氏)。

 コバルトのガンマ線放射の時間間隔も、カオス現象の有名な例である。放射線の出るタイミングはランダムに見える。だが確率が原因で単純なルールから一見複雑な振る舞いを生じる。以前はそういったことは分からなかったが、今はカオスの概念によって、単純なルールから生じる複雑な振る舞いが多くあることが分かってきている。

 特に近年は大量のデータ、いわゆるビッグデータを得られる。コンピュータの性能も向上しておりビッグデータさえ観測できれば、アルゴリズミックに数理モデルをデータドリブンに構築することにより、数値計算で近似的に解を求められるという。

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