アップルを訴えた島野製作所、争点となった特許とは:知財コンサルタントが教える業界事情(18)(2/4 ページ)
巨人アップルにかみついた――。米国アップルに対し、そのサプライヤーだった島野製作所が、独禁法違反と特許侵害で訴訟を提起したことが注目を集めている。係争のポイントとなった特許は何だったのか。知財の専門家である筆者が「特許関連情報」と「公開情報」を中心に訴訟の争点を解説する。
アップルの特許侵害の内容とは?
では、アップルが特許侵害をしたとされる、島野製作所の特許とは、どのようなものなのか特許情報データベースで見てみましょう。
島野製作所が日本で保有している登録特許で、特許権を主張できるのは、特許5280511号、特許5329516号、特許5449597号の3件です。※)
※)特許データベースCKSWeb
これら3件の島野製作所保有登録特許について、特許明細書に記載されている「発明の名称」や「出願日/優先日」だけでなく、中間記録に記載されている「分割出願関係」「優先権証明書請求書数」「早期審査請求」さらには、東京地裁に提訴した2014年8月6日以降の「ファイル記録事項記載書類の交付請求書」についても注目し、それらの結果を表1にまとめてみました。
表1から、島野製作所が東京地裁に特許侵害訴訟を提起した日付の後、同年9月5日に接触端子特許2件に対し「ファイル記録事項記載書類の交付請求書」が提出されていることが分かります。従ってアップルとの特許係争対象特許は、接触端子特許2件(特許5280511号および特許5449597号)と推測されます。
「特許5280511号(親出願)および特許5449597号(分割による子出願)」は、いずれも接触端子に関わる特許であり、明細書記載の技術分野から「電源への接続ならびにプリント基板や電子部品などの検査における電気的接続を得る目的で使用される接触端子に関し、特に、比較的大なる電流を流し得る接触端子に関する発明」であることが分かります。これら2件の特許図面として図1に示すものが掲載されています※)。
※)特許5280511号(親出願)および特許5449597号(分割による子出願):いずれの特許においても、第1図および第2図
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