連続7日間の心電波形伝送が可能な小型心電計を開発:医療機器ニュース
東北大のシーズ(植え込み型除細動器のためのソフトウェア技術)を応用し、イメージワン、リアルデザインと共同で開発・製品化。医療従事者が、スマートフォンなどで、「いつでも」「どこでも」リアルタイムに心電波形を確認できる。
東北大学は2014年12月8日、イメージワン、リアルデザインと共同で、電池交換なしで連続7日間の心電波形伝送が可能な小型のテレメトリー式心電計「duranta(デュランタ)」を開発・製品化したと発表した。科学技術振興機構の復興促進プログラムの支援を受けたもので、同月12日にイメージワンから発売している。
現在、慢性期医療における「在宅医療」の充実は、今後の医療で有力な選択肢として注目されている。しかし、在宅医療の現場では、緊急時連絡は患者家族からの連絡によるもので、医師などの医療従事者が患者のバイタルデータをリアルタイムで客観的に把握する手段が不足しているという。
今回開発されたdurantaは、東北大学サイバーサイエンスセンター先端情報技術研究部の吉澤誠教授とリアルデザインの開発チームの研究成果で、東北大のシーズ(植え込み型除細動器のためのソフトウェア技術)を応用した。
患者の胸部に付けたdurantaから、心電波形をBluetoothで患者のそばに置いたスマートフォンなどの中継機に送信し、そのデータを外部の管理者用サーバに転送して集中管理する。医療従事者は、この伝送された心電波形を、スマートフォンなどを通じて「いつでも」「どこでも」リアルタイムに確認できる。また、心拍の異常時には、アラームを表示画面やメールで通報する機能もある。
被災地を中心とした東北沿岸地域で行われた実証実験では、患者、家族、医療従事者の3者が、心電図を見ながら容態を確認する「コミュニケーションツール」として有効な効果を得られたという。
今後は、在宅医療や介護福祉分野における医療従事者の負担軽減や、医療・介護などの質の向上を目指し、日本全国へ事業展開する。またイメージワンでは、欧州各国での事業展開や台湾でのテスト運用を2015年1月から開始する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「超小型衛星を日本のお家芸に」〜月面レースに挑む研究者、東北大・吉田教授(前編)
「超小型衛星」の分野で活躍中の東北大学・吉田和哉教授に、宇宙ロボットの最新状況を聞いた。 - マグネシウムが変えるか、日本のエネルギー問題
「電気は貯められない」。現在のエネルギー政策は、この主張が大前提になっている。だが、東北大学未来科学技術共同センター教授の小濱泰昭氏は、この主張に真っ向から異議を唱える。太陽光でMg(マグネシウム)を精錬し、Mgを組み込んだ燃料電池に加工する……、こうして、電力を物質の形で蓄え、輸送し、新しいエネルギー循環を作り上げられるという。同氏は実際に機能するMg燃料電池も開発した。 - MRJはいかにして設計されたのか
三菱航空機の小型旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」の機体設計には、多目的最適化手法や、最適化の結果を可視化するデータマイニング手法が採用されている。MRJの事例を中心に、航空機設計におけるコンピュータ・シミュレーションの活用手法を探る。