検索
連載

1000人のための製品開発――極意は「使用シーンの掘り下げ」にあり!!「Product for 1000」挑戦記(2)(2/4 ページ)

「Product for 1000×3Dモデラボ×Mozilla Japan」特別企画。“個人のモノづくり”が身近になってきたというけれど本当なの? そんな疑問を持ったモノづくりド素人が「だったら自分たちで実践してみよう!」と、「Product for 1000」というフレームワークを使い、モノづくりプロジェクトを立ち上げた。第2回となる今回は、使用シーンの抽出からスタートした。

Share
Tweet
LINE
Hatena

いったんカタチを捨て、使用シーンだけに集中する

 SMASHの各項目を挙げたら、今度は簡単なシーンを描きます。ちょうど、アニメや映画の“絵コンテ”のように、背景や小道具、人物とその動きなどを描き入れていきます。その際、プロダクトそのものは描かずに、どのくらいの大きさか、人がどのように触れるものかが分かるようにします。ここではあえて、前回スケッチしたカタチを捨てて“使用シーンだけ”に集中します。


 そうすることで、

  • 持ち運びが多いかもしれない → フックを付けよう
  • 重たくなりそうだ → 腕全体で支えられるようにしよう

といった改善案が浮かびやすくなります。

 プロダクトを作るというと、徹頭徹尾モノのカタチにこだわって、最後の最後にはミクロン単位の曲面をすり合わせている……そうした現場もプロの世界にはあります。しかし、Product for 1000のプロジェクトで大切なのは「自分が一番使いたいシーンに、目的を達成できる道具であること」です。「うっとりするようなツヤを放つ至高のマウス」ならば前述のような工程も発生するでしょうが、「トラックパッドで物足りなくなった瞬間に、すぐに出てくる携帯型マウス」であれば、サイズの設定や携帯性を高めるための検討がより重要になります。

Mozilla Japan
画像4 何だか楽しげなMozilla Japanオフィスにて(10周年のお祝い仕様になっていた)。講師2人の指先が東急ハンズなのは何かHINTを見つけたからなのか……!?
dyamaokaうでみやぎさわ 画像5(a)〜(c) アイティメディア「3Dモデラボ」3人組みが考えた使用シーン。左からdyamaokaさん、うでみさん、やぎさわさん ※画像クリックで拡大表示

機能や形状が浮かび上がる

 SMASHで使用シーンを検討することで、プロダクトのカタチだけでは想像できなかった機能や形状が浮かび上がってきます。

 「たまご型ケース(卵型USBケーブル収納)」を考案したdyamaokaさんは、「職場で部下がニヤッとして、いじってくれる」ためには、「USBケーブルを貸してくれるのかな? と期待したら、なぜか卵を出してきた! という出オチ感」がよいのか、「卵型であることは特にツッコ込んでくれないクールな後輩を、『卵の殻を割る』アクションで一気に笑わせる」のが楽しいのか、どこに“興奮のピーク”を設定するか真剣に検討していました。ピークによって、卵の殻がギザギザにかみ合うのがよいか、いっそ破片が飛び散ってパズル的にするのもありか……と、自然と形状にも意識が向いていきます。

使用シーンの説明をするdyamaokaさん
画像6 使用シーンの説明をするdyamaokaさん。満面の笑みで解説しながら手にする使用シーンには、やや引き気味の後輩とドヤ顔の俺=dyamaokaさんが。心なしか後輩はうでみさんに似ていますね?
赤塚さん
画像7 Product for 1000のプロジェクトを通して、実はかなりの“肉体派”であることが発覚しつつあるMozilla Japanのスーパープログラマー赤塚さんは、華麗なるL(エル)持ちで自身のスケッチを披露。高度な肉体コントロールができると、『DEATH NOTE』のLのような常人離れした動作もお手のものということなのでしょうか。秋葉原に住んでいた筆者としては見逃せませんでした

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る